募集拡大率は20%超 大学院修士課程の育成規模はまだ拡大の余地あり
2020年における大学院修士課程の出願者数は、去年より51万人増の341万人に達した。受験生激増の背景には、2020年の高等教育機関の卒業生が
去年より40万人以上も多い874万人に達するとみられていることがある。
大学院受験や就職活動に限らず、水位が上がれば船も上がるように、難度は上がることはあっても下がることはない。そして、新型コロナ肺炎の
感染が拡大する中、ニュースが飛び込んできたのだ――修士の募集枠が拡大される!
「今年は合格の可能性がとても高くなる」アモイ大学大学院の二次試験を待つ劉達慶はこうそろばんを弾く。「本来なら、二次試験で
ボーダーラインぎりぎりだとほとんど落とされるが、今年は受かる可能性が高い」
中国教育オンラインが発表した「2020年全国大学院生募集調査報告書」に基づく試算では、2019年の大学院合格者数は約80万5,000人。
募集拡大が18万9,000人だとすると、拡大率は約23.5%になる。 募集拡大率が20%超というのは、いったいどんな水準なのだろうか。
21世紀に入り、大学院修士課程の志願者数は年々歴代最多を更新し続けており、合格者数も増えてきた。記者がデータを分析した結果、募集数は
毎年拡大してきたが、通常は5%以内に抑えられており10%を超えることは珍しい。修士課程の募集拡大が20%を超えた年もあったが極めて少ない。
国家統計局の試算によれば、2005年、2009年、2017年は修士課程の募集で拡大枠が突出しており、それぞれ前年比13.57%、16.13%、22.45%増加した。
修士課程の募集規模が年々拡大しているのは事実だが、中国の大学院修士課程の育成規模はまだ拡大の余地があると考える人もいる。彼らが
理由として挙げるのが、2018年の中国の大学院生が1,000人あたり1.96人であるのに対して、アメリカ、イギリス、フランスでは2010年以降ずっと
ほぼ9人であり、この数字は、大学院教育の発展レベルを測る重要な指標とされている。
大学院の募集拡大がある程度就職の調節弁となっていることに疑いはないが、「大学院教育は、知識・能力・リテラシーの全方位的向上という
質的変化のプロセスであるべきであり、大卒生を溜めておいて2、3年後に再び就活市場に放流する『貯水池』ではない」と北京航空航天大学の
趙世奎教授は主張する。
「修士課程募集が拡大する根本的な原動力は、経済・社会の発展に伴うハイレベル人材の需要増に端を発している。今回の突発的な新型コロナ禍は、
募集拡大という政策をさらに広げたか、速めたに過ぎない」