【海外センターレポート・ブラジル】統一選抜システム(Sisu)を通じた公立大学入学枠の増加について

今回は、公立大学への入学システム「統一選抜システム(Sistema de Seleção Unificada:Sisu)」について取り上げます。

 

Sisuは、全国中等教育確認試験(Exame Nacional do Ensino Médio:Enem)と呼ばれる一次試験を受けた受験生が、進学を希望する大学・学科の申込みをするためのオンラインシステムで、2009年のEnemの改革後に運用が開始されました。運用開始以降、Sisuは10年も経たない間に、国内の公立大学ではSisuを通じた入学の枠が著しく増加しました。以下のグラフは、教育省が毎年発表するデータ、および2010年から2016年までの「高等教育調査」(Censo da Educação Superior)の情報をもとに、グローボ局(ブラジルの有力メディア)のニュースサイト「G1」が作成したもので、公立大学における全体の定員のうち、Sisuを利用する入学者の定員数が占める割合は、10.7%から43%に増えています。

 

「高等教育調査」によれば、2010年において、公立大学の全学科(通学制)の入学試験またはその他選抜プロセスを通じて入学する新入生枠44万5,337件(全体)のうち、Sisuを利用して入学する新入生枠は2010年時点で4万7,913件でした。
2010年から2016年までに、公立大学の全体の定員数は52万9,239件に増えましたが(18.8%増)、同じ期間に、Sisuを利用する入学者の枠数が376%増加しました。2016年前期は、Sisuによる入学者の枠が22万8,071件設けられ、全国の公立大学の入学者定員数の43.1%を占めました。

 


 

Sisu申込みの要件
Sisuを通じて公立大学への入学を申請するには、受験者はEnemの作文試験の少なくとも0点より上の点数を取っている必要があります。受験生はSisuのシステム上で、2つまで希望の大学・学科、希望する授業の時間帯(午前・午後・夜間)を申し込むことができます。また、政府が行う差別是正措置(白人以外の人種、貧困家庭出身者への特別枠)を利用するか否かも併せて通知する必要があります。

 

2018年度のSisu
2018年度前期のSisuでは、130の公立大学で23万9,601件の定員が設けられました。このうち100が連邦大学、30が州立大学です。教育省によれば、各大学のSisuを通じた入学の枠数そのものは増加したものの、Sisuを通じた入学を採用する学科の数は減少したということです。Sisuによる入学枠を最も多く設けているのはミナス・ジェライス(Minas Gerais)州で、3万381件(全体の12.7%)となっています。一方、最も少ないのはロンドニア(Rondônia)州の328件で、その次に少ないのはロライマ(Roraima)州の886件となっています。

 

G1.globo:Sisu cresce quatro vezes em sete anos e concentra quase metade das vagas públicas em universidades 2018年1月23日付(2018年1月23日閲覧)

 

サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人

 

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