【海外センターレポート・ブラジル】学術研究と大学の未来について

 
2019年11月28日、元教育大臣でブラジリア大学元総長のクリストーヴァン・ブアルケ氏、ブラジリア大学の未来研究所(Núcleo de Estudos do Futuro)コーディネーターのイザアック・ロイトマン氏が知識生産、そして知識が生産される場の未来に関する討論を行いました。(※)
 
討論では、ブラジルの様々な教育問題に触れられました。その多くが、高等教育機関の学生の能力・質に影響を与える初等教育の問題です。高等教育機関の学生は、その多くが、学術研究に取り組むための十分な教育を受けていない状態で高等教育機関に進みます。ロイトマン氏はこの問題について、「学生が早い時期から新たな発見に対する興味・関心を持てるよう、初等教育の課程に学術研究に触れる機会を盛り込むような改革の必要性がある」との見解を示しました。
 
ブアルケ氏は、物や人々が相互に関連し合う複雑な現代社会における目まぐるしい変化を前に、大学の改革の必要性を訴えました。また、今後議論が避けられない問題として、人々の精神面、経済面に大きな影響をもたらす高齢化、人工知能の発展に起因する失業のほか、エネルギー、物流、自然に対する人間の状態に関する問題を挙げました。
 
また、最先端の学術研究を行うことの重要性のほか、学術研究への社会の支援の必要性も指摘されました。学術研究への社会の支援は、学術研究が実社会で応用される、あるいは社会と結びつく、社会に公表されることで初めて可能となるものです。革新的なソリューションが実社会で求められる時に、科学的知識の重要性が認識されるためには、学界と社会との対話が継続的に構築され、維持されることが重要です。
 
最後に、大学に関する批判的思考を養い、知識への探求心を刺激し、起業精神、応用化学を奨励することにおいての教師の役割を認識し、求められる変化を社会に取り込み、知識を生産する場として社会を維持するために、社会と学界との対話を構築することの重要性が確認されました。
 
サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人
 
<参考リンク>
※ JORNAL DA USP:Crise é a melhor hora para pensar o futuro da Ciência e da Universidade
 

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
社会との交流、産学官連携 産学官連携
レポート 海外センター