【海外センターレポート・ブラジル】新型コロナウイルス感染症にかかる保健省の新たな方針について

 
ブラジル保健省は2022年1月10日、新型コロナウイルス感染者の隔離に関する新たな方針を発表しました。★1  ただし、医療従事者の間ではこの方針に賛同しない声が多く、ブラジル科学学会等の諸団体も、国際的に受け入れられている推奨事項や確固とした科学的知見を考慮しないものとして強い反発を示しています。 ★2

 
国民の70%が既にワクチン接種を受けており、今年初めから一日の感染者数は大幅に増えているとはいえ感染しても症状が軽く、入院は不要である場合がほとんどです。目下の経済危機や、パンデミックが社会や経済発展にもたらした様々な影響に対応すべく、経済活動を回復させる必要性があることから、連邦政府は行動制限を緩和し、検査で陽性反応が出た人の隔離期間を短縮することを決定しました。

 
この政府の方針は一見すると誤解を招きかねないものではありますが、5~7日間自主隔離したあとに症状がなく、検査でも陰性であった場合には通常の社会活動を送ることを認めるという趣旨のようです。症状がある場合には10日間の自主隔離が求められていますが、症状があるにもかかわらず5~7日間の隔離後は外出できると考えている人の行動を制限するのは困難です。従って、医療従事者の間では、症状の有無に拠らない10日間の隔離がより安全と考えられているのです。

 
少なくとも24時間以内に呼吸器関連の症状や発熱がなく、解熱剤等を使用しておらず、陽性反応が出た日から5日目に陰性反応が出た人は、外出が可能です。また、7日目の時点で24時間以内に症状や発熱がなく、解熱剤を使用していない人は、検査をせずとも外出が可能です。7日目の時点でまだ症状がある場合、10日目まで隔離を継続しなければなりません。10日目の時点でもまだ症状がある場合は医療機関の受診が必要となります。10日目の時点で症状がない場合は隔離解除をしてよく、検査の実施も不要となります。

 
政府は以上のように行動制限を緩和したものの、少なくともサンパウロ州の教育機関においては、対面授業への出席はワクチン接種証明書の提示を条件としています。★3  ワクチン接種証明の不可は対面授業への参加や履修登録を妨げるものではありませんが、60日以内に証明を取得することが必要で、取得できない場合には青少年保護審議会、検察、保健当局に通知されます。

 


★1 参照リンク: gov.br: Ministério da Saúde reduz para 7 dias o isolamento de casos por Covid-19

★2 参照リンク: ABC:Diretrizes do Ministério da Saúde contrariam sólido conhecimento científico

★3 参照リンク: Resolução de volta às aulas da rede estadual prevê apresentação do comprovante de vacinação contra Covid-19 para estudantes


地域 中南米
ブラジル
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