【海外センターレポート・ブラジル】先住民(以下インディオと呼ぶ)の学生と高等教育について

 
2021年10月4日から8日まで、首都ブラジリアにおいて「インディオとキロンボ住民への高等教育に関する第1回全国フォーラム」が開かれました。
昨今の奨学金削減を受け、インディオとキロンボ住民の高等教育へのアクセスと学業の継続における課題について議論することを目的とするものです。 ★1

 
インディオの高等教育へのアクセスは、Lei de Cotas(専用枠法)で保障されており、同法は黒人、褐色、インディオの連邦大学・高等教育機関の入学
専用枠について定めています。これに伴い、教育省が実施する「高等教育調査」によれば、大学に入学したインディオの数は544%増加しました。
(2012年時点では8958人、2018年時点では57706人) ★2

 
この「専用枠法」では、専用枠の数は各州のインディオの人口を考慮して決めるものと定められているため、インディオの専用枠の数は州によって
ばらつきがあります。また、ブラジリア大学やカンピーナス大学のように、インディオの学生に対して特別の入学者選抜試験を課す大学もあります。
カンピーナス大学インディオ文化人類学研究センターのメンバーで教育者のジュリアナ・ジョダス氏は、「彼らの住む集落の学校での経験を評価
して認め、都市部以外の学校出身者の現実をとらえる一つの方法」としています。 ★3

 
このフォーラムの開催期間中、学生らは学びの機会を得る権利を訴え、ブラジリアの官庁街を行進し、教育省、経済省、大統領府、連邦議会の間を
練り歩きました。教育や学術研究に関する従来からの知見の重要性を強調し、教育機会の不平等の是正を目的とする連邦政府奨学金プログラム
「Bolsa Permanência」の50%以上のカットに抗議しました。この奨学金の削減により、少なくとも12000人の学生の高等教育へのアクセスの機会
が失われたといいます。 ★4

 
これに対し、教育省関係者は、奨学金プログラムの予算不足により、大学の入学定員の数は増えていないと説明しました。インディオの学生らは
今後も、憲法で保障された高等教育を受ける権利と、学業の継続を保障する奨学金の給付拡充を訴えていきたいとしています。
 


★1 参照リンク: Brasília sedia o I Fórum Nacional de Educação Superior Indígena e Quilombola

★2 参照リンク: Como funciona o sistema de cotas raciais no Brasil para indígenas?

★3 Id., Ibid.

★4 参照リンク: “A educação superior é um direito e não deve ser abordado como privilégio de poucos”, afirmam estudantes indígenas e quilombolas mobilizados em Brasília


地域 中南米
ブラジル
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