【海外センターレポート・ブラジル】サンパウロ州における対面授業の再開について

 
サンパウロ州で新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進む中、同州政府は2021年第二学期に向け、8月2日付で公立および私立の高等教育
機関の対面授業の再開を計画しています。 参照リンク1:saopaulo.sp

 
再開においては、保健当局が定めるプロトコルを遵守し、教室の座席利用率を60%に抑え、マスクとアルコールジェルの利用を義務付けると
しています。実験室を利用する実習やインターンシップ等、実践的な授業の再開も認められ、収容定員数に特に制限は設けられていません。

 
これら規定・対策は無論、今後感染が深刻化する場合には見直される予定ですが、この対面授業再開計画は、サンパウロ州の入院患者数、
死者数が頭打ち及び減少傾向にある中で実施されるものです。なお、ブラジル全体では、2020年3月以降の合計死者数は53万人に上っており、
7月第一週の一日平均死者数は約1300人となっています。 参照リンク2:globocom

 
また、一日当たりの感染者数は約45000人と依然として極めて多い一方、ワクチン接種のスピードは決して速いとは言えません。現在までに
2回または1回(ヤンセンワクチンの場合)の接種を終えた人は全国で300万人余り(人口の15%に相当)で、全てのワクチンを合わせると
人口の約40%が1回目の接種を受けたとされています。 参照リンク3:globocom

 
この状況を受け、国内最大規模の大学であるサンパウロ大学(USP)は、少ない人材を有効活用する意味でも、対面でなければ実施が困難な
科目のみを対面授業とする対面・オンライン授業を組み合わせた融合型教育を、パンデミック終息後に実施することを検討しています。
参照リンク4:Jornal do Campus

 
この融合型教育のメリットの一つとしては、学生への選択科目の受講機会の提供が挙げられます。学生にとっては、これまでは対面のみ
であったために受講が困難であった他学部・学科の講義をオンラインで受講することで、専攻分野以外の分野の知識習得の機会が
得られます。

 
いずれにしても、この融合型教育については未だ検討段階にあります。また、対面授業の制限付き段階的再開は、今後の状況次第では
サンパウロ州の18歳以上人口へのワクチン接種が終了する予定の第二学期の末頃にずれ込む可能性もあります。


地域 中南米
ブラジル
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
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