【海外センターレポート・ブラジル】イノベーションの促進について

 
2019年1月のレポートで言及した西半球諸大学コンソーシアム(CUH)は、その活動の一環として、サンパウロ大学イノベーションセンター(AUSPIN)、マイアミ大学、サンパウロ大学紛争解決センター(GLIP、グローバル平和研究機構)女性起業家プログラムとの合同のプロジェクトを行っています。2019年1月8日に、AUSPINが事前に選定した10のスタートアップを集め、それぞれの事業計画のプレゼンテーションを聞く会合が開かれました。*
 
その目的は、テクノロジーの世界最大級の見本市「eMerge Americas」に出展するスタートアップを10社の中から3社選定することでした。eMerge Americasは2019年4月にマイアミで開催される予定で、スタートアップにとっては投資家や戦略的パートナーと出会う機会となるイベントです。
 
選定する審査員は、eMerge AmericasのCEOのフェリス・ゴロルド氏、マイアミ大学ビジネススクール起業学科長のマイケル・D・ウィルソン、GLIPエグゼクティブディレクターで総長室国際関係担当補佐役のジェルソン・ダミアニ氏の3人が務めました。
 
審査の結果、選ばれた3つのスタートアップは、それぞれ異なる事業活動を展開しています。Pluricell Biotechは、サンパウロ大学バイオ科学学部(IB)、医学部(FM)の研究者らが立ち上げたスタートアップで、動物実験に反対の立場をとり、バイオ科学の知見を用いて、実験に幹細胞を使用するメソッドの開発を行っています。
 
@Tech Inovação Tecnológicaは、サンパウロ大学ルイス・デ・ケイロス農業高等学校(Esalq)の技術インキュベーション施設で立ち上げられたスタートアップです。開発するソフトウェア「BeefTrader」は市場情報のプラットフォームで、個人利益を示すグラフから、生産者と食肉加工業者間の最適な交渉時期を特定します。このグラフは、市場情報、一頭一頭の家畜を、センサーでリアルタイムにモニタリングした結果をもとに作成されます。
 
「Kidopi」は、サンパウロ大学リベイロン・プレットキャンパスの生物医学情報学科の卒業生が立ち上げたスタートアップで、プログラムと患者の間のメッセージの交換によるソリューション「Clever Care」を開発しました。服薬管理のモニタリングや、患者の疑問の解決、医師が患者の状態をフォローするためのアラートの機能を備えたプログラムです。
 
学術知識の移転、実践的応用は、社会への貢献という観点からサンパウロ大学の重要な優先課題です。このようなイベントは、些細でありながらも、人々の生活を大きく変える可能性がある問題や困難の解消に学生の関心を向けさせ、その意欲を高めるという意味では、非常に重要であるといえます。
 
サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人
 
* 参照リンク: Startups são selecionadas para participar de feira com investidores em Miami

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
国際交流 国際化
社会との交流、産学官連携 産学官連携
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