【海外センターレポート・ブラジル】「人工知能に関する高等研究所」の設立について

 

2018年初め、サンパウロ大学(USP)、ジュリオ・デ・メスキッタ・フィーリョ州立大学(UNESP)、サンパウロ連邦大学(UNIFESP)、航空技術大学(ITA)、ABC連邦大学(UFABC)、マッケンジー大学、FEI大学センター、工学・経営高等学校、マウアー技術大学、パラナ連邦技術大学等のブラジル国内の主要な複数の大学と、パウラ・ソウザ研究センター、国家コンピューター科学研究所等の研究機関の代表者が一堂に会し、「人工知能高等研究所(AI2)」と呼ばれる機関の設立に関する議論、検討が行われました。*

 

その狙いは、国内の人工知能の研究者を連携させ、この分野に対する民間セクター及び一般社会からの需要への対応を可能にするため、セクターを超えた、一般社会に開いた包摂的な人工知能の中心的機関を設置することです。現段階では、学術界と民間セクターとの交流・連携や資金調達を促進し、より良い資金管理、より社会経済的影響の大きいプロジェクトの社会的デジタル革新に主軸を置くことが目指されています。

 

IBM、Intel、BCG Gamma、Pollux Automation、Fleuryグループ、セラーザ・エクスペリアン等の大企業やパラナ州工業連盟、Cassis Group、Internucleos、Instituto Modal、 Net Partners、New Way、Predict Vision等の複数のスタートアップが、既にこのプロジェクトのパートナーとなっています。

 

現在進行しているこの分野の重要な活動は、高エネルギー物理学、認知体系、Machine Consciousnessに関するものです。また、応用的研究が行われている分野としては、石油工学、スマートセールス、エネルギー価格予測、事業管理、環境モニタリングが挙げられます。ロボット工学の分野では、教育、作業のオートメーション、人間とロボットの共存等に研究の焦点が当てられています。

 

研究によって蓄積された知識は、神経回路網、データ解析、コンピューティングアーキテクチャ、並列プログラミング、開発環境の管理、人口知能関連の様々な分野に関する、中等教育課程の授業を通じて社会に共有されます。

 

この「人工知能高等研究所(AI2)」の目的は、ブラジル国内の人工知能に関する知識の拠点となることで、人工知能研究に携わる学術界、公的機関、民間機関のネットワークを確立することでより多くの知識を創出し、一般社会がアクセスできる情報を集約する機関として機能することが期待されています。

 

サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人

 

*参照リンク:Advanced Institute for Artifical Intelligence

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 研究
国際交流 研究者交流
社会との交流、産学官連携 産学官連携
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