【国際協力員レポート・中国】中国の大学の地域間格差 - 日本語専攻を比較して -

 
本研修により北京研究連絡センターに赴任して最初の出張が、西安市にある西安交通大学で開催された『世界著名大学博覧会』であった。西安の空港の出口では、西安交通大学の学生が私達を出迎えてくれ、宿泊先までの案内、博覧会当日の通訳まで務めてくれた。彼は外国語学院の日本語専攻の学生で、とても流暢な日本語を話していたため、留学していたのだろうと思い聞いてみたところ、留学経験はない、とのことだった。また、北京にある英会話学校で知り合った女性は、筆者が日本から来たことを知ると、流暢な日本語で話しかけてくれた。彼女は外国語大学を卒業後、日系企業で働いているが、留学経験はない、とのことだった。
 
北京や天津といった大都市には、外国語大学もあれば、英会話学校をはじめとする外国語学習環境も整っている。外資系企業も多く進出しているため外国人も多く、留学経験がなくとも英語等の外国語が話せる人が多いことは不思議ではない。しかしながら、西安は広大な中国のちょうど中央ほどに位置する都市で、いわゆる「内陸部」の都市である。
 
筆者は、学生時代に中国の経済格差や教育格差について研究をしていたのだが、東部沿岸部と中部内陸部、そして都市部と農村部の格差は、大きな課題として認識していた。今回の赴任にあたって、北京や上海、広州、深?といった沿岸部の都市における近年の経済成長を見聞きするたびに、その勢いに驚くと同時に、内陸部や農村部は一体どの程度成長し、どのような状況になっているのか、気になっていた。
 
本報告書では、上記のような問題意識から、中国の大学における地域間格差について考察していきたい。次章以下では、中国の経済状況を念頭に置いた上で、大学を取り巻く政策について大まかに触れた後、大学ランキングを用いて、中国国内の大学の位置付けを分析してみたい。さらに、異なる4つの地域の大学の教員に行ったインタビューの内容を整理し、沿岸部と内陸部の大学の比較を行った後、最後に考察としてまとめる。
 
報告書全文はこちらから閲覧可能(PDFファイル:1MB)
 
【氏名】 夏本 華芳
【所属】 東京大学
【派遣年度】 2018年度
【派遣先海外研究連絡センター】 北京研究連絡センター

地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育、研究
人材育成 学生の就職
その他 その他
レポート 国際協力員