【国際協力員レポート・ドイツ 】ドイツのギムナジウムを中心とした英語教育及び大学の国際化

 
「国際化」・「グローバル化」・「グローバル人材」は、教育・ビジネスなど様々な分野で目標に掲げられている言葉であるが、日本社会において国際化・グローバル化はどのくらい進展しているだろうか。欧州在住の日本人男性研究者から、日本も少子化が進んでおり国内需要も減るため、これからはビジネス等様々な分野でより国外に目を向けて真剣に取り組んでいかないと国力は衰退すると心配の声を耳にした。一方、日本の大学教授や日本人研究者から、ドイツのギムナジウムでは非常にレベルの高い英語教育が行われ、ギムナジウムや大学の卒業者はストレスなく英語を話すことができるとよく伺った。

 
そこで、国際化の1つの指標である英語力について、国際的な英語の検定試験である TOEFL iBT®、IELTS、TOEIC Listening & Reading Test のスコアの比較を調べたところ、日本はドイツと比較して、TOEFL の平均点の差が26点、IELTSのバンドスコアの差が1.6、TOEIC の平均点の差が295点といずれも低かった。次に、日本と東アジアの国(韓国・中国・台湾)の TOEIC の平均点を比較すると、日本と韓国の差は152点、中国との差は2点、台湾との差は33点と、いずれも日本の点数が低かった。また、TOEIC のリーディングの点数について、韓国が306点、中国が258点、台湾が256点、日本が236点となっており、リーディングにおいても低い結果が示された。筆者の子供時代には、読み書きはできるが話せない日本人と言われていたが、上記3つのテストにおいて、総合点のみならずリーディングの平均点も低く、さらにアジアの国々と比較しても低い結果が示され非常にショックを受けるとともに危機感を覚えた。

 
ドイツは日本同様に非英語圏ではあるが、上記の英語の検定試験全てにおいて上位に位置し、英語力が非常に高いことが示されている。実際にドイツで生活する中で様々な場所で英語が通じ、役所や銀行、郵便局、携帯電話会社、病院、レストラン等で誰1人英語が話せなくて困ったという状況はそれほど多くはなかった。また、仕事を通じて出会った人は流暢に英語を話し、司会を行い、質疑・応答の際も臆することなく対応していた。

 
本レポートでは、ギムナジウムにおける英語教育を中心にドイツの高い英語力はどのように育まれているのか、また高等教育における国際化が高く評価されているドイツの大学の国際化の取り組みについて調査した。ドイツ語と英語は同じゲルマン語であり言語間の距離が近いこと及び地理的要因、住民に占める外国人の割合など日独で異なる点もあるが、日本において参考になる点を探った。

 
なお、報告書全文は こちら から閲覧可能(PDFファイル:約 1MB)


【氏  名】  山城 花絵
【所  属】  琉球大学
【派遣年度】  R1
【国内研修所属課・室】 人物交流課
【派遣先海外研究連絡センター】 ボン


地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
国際交流 国際化
レポート 国際協力員