【国際協力員レポート・ドイツ】大学への留学のしやすさを考える - 学生の視点から -

 
日本政府は、「日本再興戦略 - JAPAN is BACK -」(2013年6月14日閣議決定)の中で、グローバル人材の育成を強化するため、2020年までに日本人留学生を2010年の6万人から12万人へ、外国人留学生を2012年の14万人から30万人へ倍増させることを目標に掲げた。また、大学のグローバル化を推進し、今後10年間で世界大学ランキングトップ100に日本の大学が10校以上入ることを目指すとした。これを受けて、文部科学省は、国公私立大学を通じた大学教育再生の戦略的推進として、2018年度は「スーパーグローバル大学創成支援事業」、「大学の世界展開力強化事業」等のプログラムを実施している。
 
一方、ドイツは、国際的に人気の留学先である。ドイツの大学における留学生数は、2017年に35万9千人(前年比5%増)となり、学生の約10人に1人は留学生となっている。ドイツの大半の大学は州の資金で運営されており、授業料は無料とされている。一般に教育の質は高く、大学間の質の差が少ないと言われる。
 
ドイツでは、ボローニャ・プロセスの一環として、48カ国と欧州高等教育圏の創設のための取り組みが進められている。1999年に始まったこの改革により、学士・修士の共通した学位制度が導入され、学生の流動性が促進されてきた。また、国際的に認知度の高い中核的研究機関を構築するため、2006年からドイツ連邦政府が主導して特定の大学に集中的に資金を投じる「エクセレンス・イニシアティブ」を実施している。
 
私の所属する筑波大学は、「国際性の日常化」を掲げ、国際化を推進する大学の1つである。2015~2018年で受入外国人留学生数は400人近く増加し2,457人に達するとともに、日本人学生の留学支援プログラムも拡充されてきた。これまでに締結された国際交流協定は合計375協定(2018年8月27日時点)に及び、12の国・地域に海外拠点設置されている。私は2014~2016年、筑波大学で奨学金関連の窓口業務を担当し、外国人留学生の受入や日本人学生の海外留学に携わった。国際化に向けて学内の環境が変わっていく中で、大学全体として、英語での学内の情報共有や、学生の目線に立った対応ができているかという点に課題を感じた。
 
今回、国際協力員としてドイツに赴任することとなり、日本とドイツの大学における留学生の受入体制を学生の視点から比較したいと考えた。ドイツの大学は留学生に人気であることから、英語対応をはじめとする留学生の受入体制は進んでいることが予想される。ドイツは非英語圏であるという点で日本との共通点がある。実際にドイツで生活したところ、日常的にはドイツ語表記しか見られず、英語が通じないことも多かった。生活面で現地語の能力が必要とされる点では、日本と似た環境にあると言えるだろう。
 
そこで、本調査では、日本に留学した学生と、ドイツに留学した学生にそれぞれインタビューを行い、実際の経験に基づいた学生の声を聴くことで、大学への留学のしやすさを考察することを目的とする。
 
報告書全文はこちらから閲覧可能(PDFファイル:1MB)
 
【氏名】 菊池 南
【所属】 筑波大学
【派遣年度】 2018年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ボン研究連絡センター

地域 中東欧・ロシア
ドイツ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
国際交流 国際化、学生交流
レポート 国際協力員