【国際協力員レポート・ドイツ】ドイツにおける若手研究者のキャリアパス

日本の学術の将来を担う若手研究者の雇用環境の拡充は国にとっても大学にとっても非常に重要な課題であるが、現実には、高い志をもって研究に専念できる環境が整っておらず、博士の称号を保持していても安定した職に就くのが難しく任期付きとして雇用される研究者が多く存在する。全国86の国立大学の40歳未満の若手教員のうち、5年程度の「任期付き」の雇用が急増し、2016年度は63%に達したという報道もある。  
今回筆者が派遣されたドイツは世界各国の中でも教育には注力している国として知られているが 、研究者の雇用環境においては日本と同様に不安定な雇用環境を課題として抱えている。博士号取得者10人当たり教授になることができるのは2人とも述べられており、若手研究者の雇用環境の改善が急がれている。
そのような環境下、両国とも、有期雇用・無期雇用に拘らず研究者が安心して研究に打ち込める環境整備が求められている。
筆者が所属する東京大学においても、このような課題を強く認識しており、2016年度より、若手研究者が自らの発想によって自立して研究に取り組む環境を整えるため、若手研究者の安定雇用の促進と研究教育活動の支援を目的として、「東京大学卓越研究員」制度を導入する等、若手研究者支援への取り組みを進めている。
ドイツにおいては、近年では、大学教授職に就くための必須条件とされていた「ハビリタチオン」の資格取得に時間を要することを改善するためにジュニア・プロフェッサー制度を導入したり、エクセレンス・イニシアティブという制度を設けて、大学における若手研究者の支援制度を援助したりする等、取り組みを進めている。(詳細は本文中に記載)
日本もドイツも、次世代の研究・学術分野を担う若手研究者のキャリアパスというものを重要視している点は同様である。
本稿では、日本の抱える研究者雇用に対する課題について、ドイツではどのように取り組んでいるか、何を課題としているかを調査することで、日本における取り組みの参考となれば幸いである。

なお、報告書全文はこちらから閲覧可能。

【氏名】 近藤 理沙子
【所属】 東京大学
【派遣年度】 2016年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ボン研究連絡センター

地域 中東欧・ロシア、EU
ドイツ
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
人材育成 若手研究者育成、研究者の雇用、研究人材の多様性、教員の養成・確保
統計、データ 統計・データ
レポート 国際協力員
研究支援 研究助成・ファンディング、研究者向けフェローシップ