【国際協力員レポート・タイ】日タイにおける女性研究者の活躍状況把握とその背景考察

 
2015年に国際連合サミットで定められた「持続可能な開発目標(SDGs)★1 ★2 を、誰もが一度は聞いたことがあるのではなかろうか。
SDGs とは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、図1に示す17のゴールと169のターゲットから構成され,地球上の
誰一人取り残さない」ことを誓っている。

         
                        <<図1 SDGsの17のゴール>>

 
これら17の目標のうち、「5.ジェンダーの平等」について、基本的な人権であるだけにとどまらず、平和で豊か、かつ持続可能な世界に必要な基盤であるとされている。★3 他の16の目標と同様、女性の社会的活躍、男女平等は全世界的に重視されるキーワードであり、その実現に向けて努力することは今や各国にとって必須の課題となっている。

 
日本においても、2015年に女性活躍推進法が施行されて以降、既婚女性の就業率、男女間の所得格差等の項目については改善傾向にある。★4 また2020年に作成された「SDGs アクションプラン2020 ★5」では、中核となる3本の柱のひとつとして「次世代・女性のエンパワーメント」を掲げ、様々なライフステージにある女性の就業や再就職の支援を行っているが、2021年の世界経済フォーラム ★6 の分析によると、「ジェンダー格差の少ない国ランキング」において日本は120位に位置付けられ、G7の中では最下位となっている。また同ランキングにおける中等教育(中学校・高校)、高等教育(大学・大学院)、労働所得、政治家・経営管理職、教授・専門職、国会議員数に関しては男女間の差が大きいと言われ、ジェンダー平等に関しては課題が山積している。

 
一方、筆者が滞在するタイ王国の状況はどうだろうか。同ランキングにおける順位は79位であり、アジアの国の中では比較的上位に位置している。また各国と同様、ジェンダー平等に向けた取り組みが進められている。タイ政府は SDGs を受け、女性活躍を国家的に支援する動きを加速させている。2015年には国家平和秩序評議会によりジェンダー平等法 ★7 が制定され、不当な性差別や女性と家庭の問題に関して細かく言及している。

 
本研究では、日本とタイの高等教育におけるジェンダー格差について調査し、その背景にある事情を考察し、今後日本が改善すべき点について検討したい。
 

なお、報告書全文は こちら から閲覧可能(PDFファイル:約 1MB)


★1 https://sdgs.un.org/goals   (2022年2月24日)
★2 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html (2022年2月9日)

★3 https://www.unesco.or.jp/sdgs-assist/about-sdgs/ (2022年2月24日)

★4 https://saponet.mynavi.jp/column/detail/20210508181114.html (2021年7月3日)

★5 SDGsアクションプラン2020 ~2030年の目標達成に向けた「行動の10年」の始まり~ (2021年7月8日アクセス)

★6 Global Gender Gap Report 2021 世界経済フォーラムのホームページよりダウンロード (2021年10月7日アクセス)

★7 Gender Equality Act B.E. 2558 (2015) (2021年6月10日アクセス)
   公式なものではないが、英訳版がインターネット上で確認できた。Social Development and Human Security Lawよりダウンロード


【氏  名】  土井 智香子
【所  属】  奈良先端科学技術大学院大学
【派遣年度】  R1
【国内研修所属課・室】 研究協力第二課
【派遣先海外研究連絡センター】 バンコク


地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
国際交流 国際化
レポート 国際協力員