【国際協力員レポート・タイ】タイにおける国立六大学連携コンソーシアムの活動

 
大学職員として働き始めてからこれまで「国際化」という言葉を耳にしなかった日はないのではないかと思われるほど、大学職員にとって「国際化」という言葉は身近なものになっている。私自身は国際関係の部署で働いた経験はないのだが、仕事で学生用の授業科目一覧などを見る私が学生の頃とは比較にならないほど「国際関係」や「国際交流」など、科目名に国際○○とつく科目や、いわゆる長期休みを利用して数週間で実施される海外研修の科目が充実しているように感じられる。今の学生にとって海外は私達が学生の頃よりもずっと身近なものになっているのだろう。
 
そのようなことを感じているうちに、縁あって日本学術振興会国際学術交流研修に参加する機会を与えて頂くことになり、二年間の研修生活を送るため所属大学を離れることとなった。不思議なことに、離れるとより一層自大学への興味が湧いてくるもののようである。日本学術振興会東京本部で勤務しているころ、私が本籍を置く新潟大学も関わっている興味深い取り組みを知ることができた。それが、本レポート内で紹介する国立六大学連携コンソーシアム(the Six National Universities Network/International Education & Research System, Japan 、略称SUN/SixERS)である。
 
新潟大学は新潟の地元に根付いた国立大学であると同時に、旧医科大学を始めとする地域に根付いた他の5つの国立大学と併せて、旧医学系六大学(以下、旧六大学)と呼ばれる大学グループの一角を占めている。
 
しかし、近年大学の国際化が盛んに議論される中にあって、旧六大学に属する各大学は国際化に関して共通の課題を抱えていることを認識し始め、2013年にはこれまでの旧六大学の枠組みをもとにSUN/SixERSという新たな枠組みでの活動を開始することとなった。ここで、SUN/SixERSの設立の理念を以下に紹介したい。
 
「(略)我々国立六大学は、その歴史や規模、各地域の中核的教育・研究機能を担う点など共通する立ち位置に在り、直面する課題についても共有できるものが多く、それぞれの大学が持てる優れた教育研究基盤を活かしつつ、高度な国際性、学際性、先進性に裏付けられた教育研究を連携・協働させることにより、国家と社会の要請に真に先がけて応えるのみならず、社会の将来像を提起できるものと固く信じる。我々国立六大学は、緊密かつ強固に連携し合い、世界的水準の独創的な研究拠点の創出、グローバル社会でリーダーとなる人材の育成、地域社会への貢献、国際的活動の推進のための具体的な取り組みを急ぎ遂行する決意である。とりわけ、喫緊の課題は、大学の国際化とグローバル人材の育成である。そのため、六大学は連携して、学生・研究者の相互派遣や大学の教務・事務その他の機能の国際化を早急に整えるとともに、外国の実力ある大学連合とも連携し、世界的な学術交流を推進する。」
 
以上の理念をみると、各大学とも大学の国際化とグローバル人材の育成に対する強い問題意識があり、かつてない変革期を同じ課題を抱える6つの大学で協力して乗り切ろうという意志が強く感じられる。
 
このたび日本学術振興会国際学術交流研修に参加したことをきっかけに学外に出たことは、自大学の存在を別の角度から眺めるのみならず、日本の他大学全体も見渡すことができるようになった。特に、海外研修先としてSUN/SixERSの活動が盛んな地域の一つであるタイに派遣していただいたことは、SUN/SixERSの取り組みについて俯瞰する大変貴重な機会であると考えている。
 
このレポートでは、とりわけ学生交流に関する活動を中心にしたタイでのSUN/SixERSの活動等を関係者の意見を交えながら紹介しつつ、今後の展開の方向性について考察していきたい。
 
報告書全文はこちらから閲覧可能(PDFファイル:1MB)
 
【氏名】 簑輪 知佳
【所属】 新潟大学
【派遣年度】 2018年度
【派遣先海外研究連絡センター】 バンコク研究連絡センター

地域 アジア・オセアニア
タイ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
国際交流 国際化、学生交流、研究者交流
人材育成 学生の就職
レポート 国際協力員