【国際協力員レポート・スウェーデン】スウェーデンの大学における競争的資金獲得のための支援体制

 
研究者の研究活動と研究費、とりわけ競争的資金による研究費の獲得については、充実した研究環境やそれによりもたらされる質の高い研究成果と不可分の関係になっている。国立大学においては、平成16年の法人化以降、運営費交付金が毎年約1%ずつ削減され続け、また平成27年度以降は横ばいの状態が続いており、競争的資金の重要性に拍車がかかっている。
 
日本において、国からの研究助成総額の半分以上を占めるのが、独立行政法人日本学術振興会が実施している、科学研究費助成事業により配分される科学研究費補助金(以下、「科研費」という。)である。平成29年度には、主要研究種目において約101,000件の新規の応募があり、このうち約25,000件が採択された。この採択率は約25%であるため、研究費を必要としている研究者、研究課題に研究費が行き渡っていないのが現状である。また、既に採択され、数年間継続して科研費を受給している研究課題を含めると、平成29年度には約76,000件の研究課題が科研費を受給していることになる。平成29年11月現在で、科研費の応募資格を有する研究者は約284,000人いることから、単純計算でこちらも約25%、研究者の4人に1人が科研費を受給しているというのが現状である。
 
平成30年度以降に配分される科研費については、新規採択率30%などの目標を掲げた、政府策定の第5期科学技術基本計画に基づき、研究種目や審査システムなどの抜本的な改革が行われた。平成30年度第2次補正予算では50億円が追加計上され、また平成31年度予算では前年比86億円の増額計上がなされており、今後のさらなる研究活動支援の強化が期待されている。
 
本稿では、日本における研究者を取り巻くこのような状況を踏まえ、スウェーデンの大学における競争的資金の重要性、また獲得のために大学が行う支援について調査したい。
 
報告書全文はこちらから閲覧可能(PDFファイル:2MB)
 
【氏名】 石田 達也
【所属】 広島大学
【派遣年度】 2018年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ストックホルム研究連絡センター

地域 北欧・バルト三国
スウェーデン
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
大学・研究機関の基本的役割 研究
レポート 国際協力員
研究支援 研究助成・ファンディング