【国際協力員レポート・イギリス】英国大学におけるパブリック・エンゲージメント―社会とつながる大学の仕組みづくり―

皆さんは「大学」にどのような印象をお持ちだろうか。皆さんにとって「大学」とはどれほど身近なものであろうか。教育基本法第七条では、「大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。」と定められており、学生に授業を行う大学、高度な研究を行う大学、地域の医療の要となる大学、地域の産業とつながる大学等、大学はそのさまざまな顔を社会において見せている。そしてそのそれぞれの場面において、「知」の拠点として大きな役割を果たしており、活動は広報や市民向け講座、オープンキャンパス等で知られているとおりである。しかし依然として、「大学」がどこか遠い存在に感じられるということはないだろうか。それは、皆さんが「大学」とつながりを感じる場面が十分でないからかもしれない。もしかすると、どのようにつながればよいか分からないといったことがあるのかもしれない。
一方で、「大学」がこれまで以上に「社会」とつながる必要性を認識しているということをご存じだろうか。2004年に国立大学が法人化されて以降、大学は社会のニーズと向き合うことでその競争力を高め、経営力を強化することが求められており、各大学は特色を生かしながら必死に取り組みを進めている。
この「大学」と「社会」のつながりについて考えるにあたり一つ参考とされたいのが、英国大学の「パブリック・エンゲージメント」の取り組みである。パブリック・エンゲージメントとは、高等教育や研究がその活動や活動による恩恵をパブリックと共有するための方法・手段を示し、相互に恩恵を受けるものと定義づけられている。ここで言うパブリックとは一般市民を指しており、エンゲージメントは、地域のコミュニティをはじめ、NGO等の市民団体、学校・病院・役所等の公共団体、さらには産業界との繋がりにおいて行われると考えられている。つまり、「大学」の教育・研究内容とその成果を「社会」と共有することで、お互いが恩恵を受けて発展していきましょうという取り組みなのである。
本稿では、英国のパブリック・エンゲージメントにかかる制度や取り組みについて着目し、「大学」と「社会」のつながりについて考えを深めたいと思う。
なお、報告書全文はこちらから閲覧可能。
【氏名】 林田 志保
【所属】 長崎大学
【派遣年度】 2017年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ロンドン研究連絡センター

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事、政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、研究
社会との交流、産学官連携 地域連携、社会貢献
レポート 国際協力員
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