【概要】
研究活動における不正行為(以下、研究不正)は科学の発展を阻害するのみでなく、社会の科学研究へ対する信頼を揺るがすものである。また、科学研究に対する社会の信頼が損なわれることは、公的機関による研究助成の継続・拡大を困難にする。しかしながら研究不正の事案は後を絶たず、それが報道などで大きく取り上げられるほど、研究不正に対する社会の関心も強い。
文部科学省の『研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン』によると、研究不正とは「得られたデータや結果の捏造、改ざん、及び他者の研究成果等の盗用」であると定義されている。また、論文の二重投稿や「論文著作者が適正に公表されない不適切なオーサーシップ」なども、「不正行為として認識されるようになってきている」とのことである 。
米国の公衆衛生庁研究不正規律(Public Health Service Policies on Research Misconduct)も、研究不正(research misconduct)を研究活動における捏造(fabrication)、改竄(falsification)、剽窃(plagiarism)であると定義している。なお、悪意のない間違い(honest error)や見解の相違(differences of opinion)は研究不正に当たらないとも明記されている 。
本報告書では、日本と米国における研究不正に関する制度などの概説と、米国の研究大学において実施したインタビュー結果をもとに、研究不正への対応について考察したい。
なお、報告書全文はこちら(PDF)から閲覧可能。
【氏名】 豊田 真規子
【所属】 一橋大学
【派遣年度】 2014年度
【派遣先海外研究連絡センター】 サンフランシスコ研究連絡センター