【国際協力員レポート・アメリカ】米国の大学における学生担当職員の職務とSD ―UC Berkeleyでのインタビューと授業への参加を通して―

 
 2016年3月31日に「大学設置基準等の一部を改正する省令」が公布され、2017年4月1日から施行された大学設置基準で、スタッフ・ディベロップメント(以下SD)が義務化された。その背景には、急速な社会の変化に伴い大学も国際展開等の戦略的な改革が求められ、大学運営の高度化、それを担う職員*1) の資質能力向上が求められ始めたことがある。個々の職員の努力に依存した取組には限界があり、各大学レベルにおいて大学運営に必要な能力を身に付け、向上させるためのSDを推進することが必要と考えられたのだ 。*2)
 

 ただ、義務化以前からも大学職員に求められる能力の高度化に伴い、事務職員のSD、専門職化の議論は活発に行われてきた。数ある先行研究の中でも事務職員の専門職化が進んでいる米国がしばしば例に出されてきたが、この度幸運にも米国にて研修をする機会をいただいた。そこで、日本学術振興会サンフランシスコ研究連絡センターの目と鼻の先にあり、全米公立大学ランキングで常に上位*3) にランクインしているカリフォルニア大学バークレー校(以下UC Berkeley)にてインタビュー調査を行うこととした。インタビューは、筆者が所属大学で配属されていた学生担当の部署の職員を主な対象とし、その職務とSDについて伺った。
 

 高等教育の予算規模、雇用システムの違い、職員数の少なさなどから日本の大学では米国大学同様の職種を設けることは難しいが*4) 、学生サポートに対する姿勢や、その能力向上の方法については日本でも大いに参考になると考える。
 

 なお、以下本稿では広く学生担当業務に携わる者を職員と定義し、大学によって職員の呼称を区別する必要がある場合には職員の後に括弧で詳細を記すこととする。


*1) ここでいう職員には、事務職員だけでなく,教員や技術職員等が含まれている。
*2) 中央教育審議会大学分科会大学院部会資料 大学設置基準等の一部を改正する省令案の概要(スタッフ・ディベロップメント(SD)関係
   (2020年2月12日アクセス)
*3) U.S. News & World Report Best Global Universities Rankings 2020 (2020年2月12日アクセス)
*4) 大場淳(2014)「大学職員研究の動向―大学職員論を中心として―」大学論集第46集

 
報告書全文はこちらから閲覧可能(PDFファイル:約4MB)
 

【氏  名】  宮田 羽純(みやた はすみ)
【所  属】  慶應義塾大学
【派遣年度】  2019年度
【派遣先海外研究連絡センター】 サンフランシスコ研究連絡センター

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事
人材育成 教員の養成・確保、高技能職業人材の育成
レポート 国際協力員