【国際協力員レポート・アメリカ】米国におけるアドバンスメントへの取り組みとその現状 - ジョージタウン大学とCASE へのインタビューを通して -

 
数年前より、大学業界の「2018年問題」という言葉を新聞や雑誌で何度か目にすることがあった。大学業界における「2018年問題」とは、2018年以降日本の18歳人口の減少が加速し、大学入学者が必然的に減ることを指す言葉である。学生等納付金が教育活動収入の51%を占める私立大学にとって、入学者の減少が財政状況に大きなダメージを与えるのは言うまでもない。さらに、私立大学経常費補助金は毎年減っていく傾向にあり、今後増える可能性は低いだろう。その一方で、人件費や施設設備費などの支出を削ることは容易ではなく、私立大学の収支状況はこの先ますます不安定になっていくと思われる。このような状況下で、私立大学が継続的に経営の安定・強化を図っていくためには、自ら進んで資金を調達しようとする意志と行動が不可欠である。
 
そこで注目したいのが、収入源としての“寄付金”の可能性である。米国の私立大学と比べると、日本の私立大学は収入全体に占める寄付金の割合が低く、まだ伸び代があるのではないかと考えられる。もちろん、米国の大学が巨額の寄付金を獲得できる背景には、税制、寄付文化、宗教など様々な要素が絡み合い、それらが結果的にプラスに働いている事情があるだろう。しかし、本報告書では、米国の大学の寄付募集活動に対する姿勢や組織体制そのものが日本のそれとは大きく異なることに注目したい。
 
米国では前線に立って寄付募集活動に従事する専門職員を“ファンドレイザー”と呼び、その他の関連する活動全体(同窓会との関係構築や広報等)を“アドバンスメント”と表現するが、それらは日本の大学業界では馴染みが薄い言葉で、なかなかイメージが掴みにくい。そこで、約250名で構成されるアドバンスメントオフィスという組織を持つジョージタウン大学、及び国際的にアドバンスメント活動を支援する非営利団体のThe Council for Advancement and Support of Education (以下、CASE)にインタビュー調査を行い、その活動内容を知ることで、“ファンドレイザー”や“アドバンスメント”に対する理解を深めたい。また、アドバンスメント活動を日本の大学が取り入れるメリットはあるのかどうか、さらにそれを所属大学に当てはめた場合にどうなるかについても検討したい。
 
報告書全文はこちらから閲覧可能(PDFファイル:1MB)
 
【氏名】 川野 広貴
【所属】 慶應義塾大学
【派遣年度】 2018年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ワシントン研究連絡センター

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事、予算・財政、政策・経営・行動計画・評価
その他 その他
統計、データ 統計・データ
レポート 国際協力員