【国際協力員レポート・アメリカ】米国における高等教育の現状

米国の大学は2018年版の英国高等教育専門誌Times Higher Educationの世界大学ランキングにおいて上位10の大学のうち7校ランクインするなど世界トップクラスの高等教育水準にあることは疑いようのないところである。しかしながら国内では2016年の大統領選挙でも論点の一つとなった高等教育の学費高騰に関する問題が教育、さらには社会問題にまで発展しそうな様相である。米国における4年制大学の学生の多くが学生ローンを抱えている状況にある。さらに卒業後に高額な学生ローンに見合うだけの収入が得られる職に就けるのはごく一部であり、それ以外の若年大卒者は返済に苦慮することになる。さらに高等教育の学費高騰で低所得者は入学機会を得られず、格差問題を拡大させる要因にもなっている。このような現状を踏まえ2016年の大統領選挙ではバーニー・サンダース氏が学生ローンの金利引き下げ、高等教育の一部無償化などを公約に若年層の支持を集め躍進した。その後、民主党の指名候補はヒラリー・クリントン氏となり改革の一部は引き継がれトランプ氏と選挙戦を争ったが敗北に終わった。トランプ政権では学生ローン救済の方針は具体的に示されておらず引き続き混乱が予想される。
日本においてはニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定)に基づき、奨学金制度の拡充が図られ平成29年度から給付型奨学金が新たに先行実施され、平成30年度進学者から本格実施される。さらに今後も奨学金制度の拡充、さらに高等教育の無償化なども検討されており米国の状況とは少し違うようにも見える。
本報告書では、このような様々な問題を抱えながらも世界の教育・研究の最先端を行く米国の高等教育の現状を教育制度全般に触れつつ日本との違いを明確にし、米国ではどのようにこれらの問題を認識、解決しようとしているのかを全米の単科・総合大学の総意を束ねる組織であるアメリカ教育協議会(American Council on Education)の担当者のインタビューなどを通じて調査したい。
なお、報告書全文はこちらから閲覧可能。
【氏名】 武井 正人
【所属】 群馬大学
【派遣年度】 2017年度
【派遣先海外研究連絡センター】 ワシントン研究連絡センター

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事
大学・研究機関の基本的役割 教育
学生の経済的支援 学費、学生向け奨学金
レポート 国際協力員