【ニュース・イギリス】英国のAI部門を発展させるため、AI評議会に任命された一流の専門家

 
2019年5月16日、デジタル・文化・メディア・スポーツ省(Department for Digital, Culture, Media and Sport:DCMS)とビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department for Business. Energy&Industrial Strategy:BEIS)は“AIの可能性を最大限に経済に活用する”ことを狙いとする産業戦略の一環であるAI Sector Deal一周年を記念し、AI評議会に第一線の専門家を任命した。
 
ビジネス界、学術界、データ保護組織のリーダーが、英国のAIの急成長を助け、国の組織や企業を横断してAIを適用し、倫理的な使用を促進するための独立した専門家組織に参加した。
 
専門家のラインナップには、英国唯一のオンライン専門スーパーマーケットであるOcadoの最高技術責任者であるPaul Clarke氏、Dame Patricia Hodgson氏、データ倫理・イノベーションセンターの役員、アランチューリング研究所の最高責任者であるAdrian Smit教授が含まれる。他の専門家として、AI for goodの創設者であるKriti Sharma氏、UKRIの最高責任者であるMark Walport氏、エジンバラロボットセンターの創設者でロボット工学の教授でもあるDavid Lane氏が含まれる。
 
AI評議会のメンバーは、Ocadoでの購買履歴を用いた需要の予測、詐欺行為の検出、消費者の安全確保から、AIの技術、消費者からの信頼、機微情報保護の保証など、社会においてAIが受け入れられるための障害を発見し克服することで英国の開拓者としての精神を受け継ぐことで築かれたアランチューリング研究所に至るまで、すでにAIの発展を導いている人々である。これらの専門家は、英国がAI技術を最大限に活用できるよう正しい技術、倫理、データを適切に用いられるように手助けする。
 
デジタル、文化、メディア、スポーツ省大臣であるJeremy Wright氏は、責任ある技術の重要性について話し、特に英国の‘tech for good’※部門で起きているイノベーションについて特に強調しつつ、英国の技術について太鼓判を押す場である、パリでのVivatech Summitでのスピーチにて評議会のラインナップをアナウンスし、以下のように述べた。

「英国は、すでにAI分野で主導的な影響力を有している。我々はいくつかの世界的に優れた学術機関の本拠地を有し、この分野への投資は記録的な水準に達しており、世界で最も優れた技術を持つ人材を惹きつけているが、我々は決して満足していない。」
 
「AI評議会を通じて、我々は、経済全体に亘るAIの適用や最も有効な利用についてリーダーシップを発揮する様々な専門家の知識を活用することで、今の勢いを持続し続ける。」
 
「Tabitha Goldstaub氏のリーダーシップの元、評議会は英国のAI部門を国際的に代表し、データ駆動型技術を最大限活用するための正しい技術とやり方を確立するのに役立つ。」

 
ビジネス・エネルギー・産業戦略省大臣のGreg Clark氏は以下のように述べる。

「AIの利用は、人々を詐欺にあわないよう守ることから家庭のスマートデバイスにいたるまで人々の日々の生活に不可欠なものになりつつある。」
 
「我々がこの常に変化する産業界を、世界的にリードし、高度な技術を有する優秀な人材をひきつけ、発展すると見るのであれば、AI評議会への新たな参画者の画期的な業績は、計り知れない価値となる。」
 
「このAI評議会は我々の画期的なAI Sector Dealを導き、それは我々の最新産業戦略の重要な一部である。この最新の産業戦略は、現在及び将来に向けて、これらの最新技術における世界の舞台での英国の地位を保証するために投資するものである。」

 
Tabitha Goldstaub氏は、企業に対し、ビジネスを発展させられるAI専門家へのアクセスや情報を提供するオンラインプラットフォーム事業を展開するCognitionXの共同創設者である。彼女は世界中のAI専門家が集う最も大きな場のひとつであるCogXも運営している。彼女は、評議会の監督権を有しており、政府に対して、AIとどのように働くか、企業や組織がAIの利用を後押しするためにどのように奨励するかを政府に対して助言する。
 
AI評議会の議長でありAIビジネスの旗振り役であるTabitha Goldstaub氏は以下のように述べている。

「様々な専門分野の方が集まり、自身の時間、経験、知見を提供することに同意し、英国におけるAIの発展を促し、責任ある選択をするAI評議会委員が発表されたことに感激している。」
 
「もし我々がAI技術の全利益を得ようとするなら、全てのAIコミュニティが集い、AI評議会とともに、産業界、学術界、公的機関との間でオープンな対話を形成するために働くことは重要である。そして我々は全社会に対して社会的、経済的な利益を見出すことができるだろう。」

 
サウサンプトン大学のコンピューター科学の欽定講座担当教授でAI技術の専門家であるDame Wendy Hall氏は、以下のように述べた。

「私が共著したAIレビューの提言が、AI評議会の提言として現実になりつつあるのを見るのはすばらしい。私は“AI技術の旗振り役”として評議会に参画できることを嬉しく思う。」
 
「AIは英国の成長と世界的名声にとって非常に大事であり、評議会の活動は、部門を横断して多様性を奨励するために英国全体のAIへの理解を深め続けるだろう。」

 
techUKの技術イノベーション担当副理事であるSue Daley氏は以下のように述べた。

「AIの全潜在能力を明らかにすることは、政府、産業界、学術界、市民社会が単独でできることではない。協働することが、英国がAIに対して準備し、人々の生活に本当の違いをもたらすAI技術の適応や利用をいかに増進することになる。このことは、AI評議会からの今日の発表が、今後への更なる重要な一歩である理由である。
 
「評議会は、英国政府が、我々がAIにおいて世界的リーダーであり続けるのに必要な高度な知識や情報へのアクセスを持つことを保証するための重要な役割を果たすだろう。techUKは社会の誰に対しても利益をもたらせるよう、AIの開発と適用について評議会と協働することを期待している。」

 
AI評議会は、さらに幅広く専門家を育成、支援し、倫理、適用、技術、かつ制限を設けることなく特定のトピックにフォーカスすることが当初の目的である。これによって、より広範なAIコミュニティが解決に向けて働きかけるために協働し、英国をAIとデータ革命におけるリーダーにするよう働きかけることになる。
 
AI評議会のメンバーの任命は、AI Sector Deal、政府と産業界が共同で英国を振興技術の最前線に位置できるようにする10億ポンド規模の協定の一周年時に行われる。
 
2018年の開始以降、AI Sector Dealは以下について実施した。

  1. データ倫理とイノベーションのためのセンターを設立した。このセンターは、AIとデータ駆動型技術の安全で倫理的かつ革新的な利用を可能にし、データを保護するために必要な方法について、独立した専門家のアドバイスを提供する。
  2. 次の5年間で新たなPhD学生を1,000人育てるため、英国中の大学において博士課程トレーニングのための新たなセンターを16設立すると宣言した。
  3. アランチューリング研究所が率いるAIのトップ人材を英国に留まらせ惹きつけるための新たなAIフェローシップを提供した。
  4. 英国のトップ研究所に、新たなAIに精通した者を配置するための産業基金第一弾を発表した。
  5. 放射線医学、AIを活用した医療の進歩を含むデジタル病理学と画像診断に関する英国内の5つの新たな優れた研究拠点設置に向け合意した。
  6. 法律と会計の分野において、AIがどのように適用されるか検討する研究プロジェクトを発表した。
  7. オープンデータ研究所とともに、データ保管や野生動物の違法取引の追跡や食料品の無駄の削減に関する可能性を探る。

 
※ Tech for Good:社会的、経済的、地球環境に関する課題に対応するための技術について、ユーザーが議論し、倫理的な解決手法を導くためのコミュニティ。
 
2019年5月16日        
 
GOV.UK:Leading experts appointed to AI Council to supercharge the UK’s artificial intelligence sector 

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 研究
社会との交流、産学官連携 社会貢献
レポート 海外センター