【ニュース・中国】2019年度最新版教育支援政策が公表 幼稚園から大学院まで網羅

 
8月は大学入試の合格発表の時期です。進学が経済的に困難な世帯の学生も無事に入学できるよう、国はどんな支援政策を用意しているのでしょうか。
 
「教育小微」から一言:中国ではほぼ完璧な幼児教育から大学院教育まで網羅した中国式の教育支援政策が確立されています。本日は、その内容について「教育小微」が皆様にご紹介いたします。それでは、ご覧ください。
 
幼児教育・幼児支援政策
 
「地方先行・中央補助」の原則に従い、各地方では現地の事情に合わせて幼児教育支援政策を確定しています。

  1. 政府支援
    「普恵性幼児教育」を受けている経済的に困難な世帯の児童(貧困世帯として登録されている世帯の児童・生活保護世帯の児童・特別困窮世帯の救助扶養児童等)・孤児および障害児を支援します。
  2. 幼稚園支援
    幼稚園は事業収入から一定割合の経費を計上し、保育料の減免や特別困窮世帯の補助などに用います。
  3. 民間支援
    各地方で関連の優遇政策を確立・整備し、社会団体や企業・事業単位、個人からの寄付を誘導・奨励し、経済的に困難な世帯の児童、孤児および障害児が「普恵性幼児教育」を受けられるようサポートします。

 
義務教育における学生支援政策
 
「両免一補(2つの免除・1つの補助)」および栄養改善計画を実施しています。

  1. 学費および雑費の免除
    義務教育段階にある全ての学生の学費および雑費を全額免除します。
  2. 無償教科書
    義務教育段階にある全ての学生に教科書を無償提供します。新小学1年生には正規版の学生字典を無償提供します。
  3. 経済的に困難な世帯の学生に対する生活補助
    都市部の経済的に困難な世帯の学生に生活費を補助します。うち、寄宿生の補助基準は小学生1人あたり年1,000元、中学生1人あたり年1,250元、非寄宿生は2019年秋学期より補助対象となり、補助基準は寄宿生の生活補助基準額の50%とします。
  4. 栄養改善計画
    国の農村試験地域の義務教育段階にある学生に対し栄養食事補助を支給します。補助基準は1人あたり年800元です。地方は現地の事情に合わせて栄養食事地方試験事業を実施します。

 
普通高校教育課程における学生支援政策
 
国家学習支援金受給者や貧困世帯として登録されている世帯など、経済的に困難な世帯の学生に対する学費および雑費の免除や、地方政府支援プロジェクトをメインに、学校からの支援と民間の力も積極的に導入します。

  1. 学費および雑費の免除
    公立普通高校に通う貧困世帯として登録されている世帯など経済的に困難な世帯の学生(貧困世帯として登録されている世帯ではないが経済的に困難な世帯の障害学生・農村生活保護世帯の学生・農村特別困窮世帯の救助扶養学生)に対し学費および雑費を免除します。政府教育行政管理部門が法令に基づき認めた民間普通高校に通う学費および雑費免除政策の条件に適合する学生に対しては、現地の同種公立普通高校の学費および雑費免除基準に従い補助を給付します。
  2. 国家学習支援金
    普通高校に通う経済的に困難な世帯の学生を支援します。平均支援基準額は1人あたり年2,000元です。
  3. 地方政府支援
    一部地域では、地方奨学金・助学金・特別免除などの政策を打ち出しています。
  4. 学校支援
    学校は事業収入から一定割合の経費を計上し、学費の減免、校内奨学金・学習支援金の設立、特別困窮世帯補助などの支出に用います。
  5. 民間支援
    企業・民間団体・個人などによる普通高校向け奨学金や助学金の設置を積極的に誘導・奨励します。

 
中等職業教育課程における学生支援政策
 
国家奨学金・学費免除・国家学習支援金をメインに、インターンシップ・学校支援・民間支援を補助的手段にします。

  1. 国家奨学金
    国は全日制中等職業学校の2年生以上の学生で、成績優秀、技能に秀でた学生に奨学金を支給します。対象は年2万人、奨学金の基準は1人あたり年6,000元です。
  2. 学費免除
    中等職業学校全日制学歴取得教育課程の1、2、3年次に正式に在籍する在校生のうち全ての農村(県・鎮を含む)学生・都市の農業関連専攻学生・経済的に困難な世帯の学生に対し学費(芸術系の芸能関連専攻学生は除外)を免除します。都市の経済的に困難な世帯の学生の割合は規定に従い区域ごとに決定します。学費免除基準は各級人民政府および価格・財政主管部門が批准した公立学校の学費基準に従い実施(宿舎費は含まず)します。
  3. 国家学習支援金
    中等職業学校全日制学歴取得教育課程の1、2年次に正式に在籍する農業関連専攻学生および農業関連専攻以外で経済的に困難な世帯の学生を支援します。平均支援基準は1人あたり年2,000元で、具体的基準は各地方が実情に鑑みて1,000~3,000元の範囲内で決定しますが、2~3段階に分けることも可能です。経済的に困難な世帯の学生の割合は規定に従い区域毎に決めます。寧夏回族自治区の六盤山区など11の広域特殊困難地区およびチベット自治区、4つの省のチベット民族自治区、新疆ウイグル自治区南疆地区4州の中等職業学校に通う農村学生(県城は含まない)は全員国家学習支援金の給付対象です。
  4. インターンシップ
    中等職業学校の学生を企業などの職場にインターン生として派遣し、一定の報酬を得て学習および生活費に当てることができるようにします。
  5. 学校支援
    中等職業学校は毎年一定の経費を計上し、学費の減免・勤労学生支援・校内奨学金・特別困窮世帯補助等に用います。
  6. 社会支援
    中等職業学校に通う経済的に困難な世帯の学生に対し、民間団体や企業・事業単位および個人が支援をすることを奨励・支援します。

 
普通高等教育課程における学生支援政策
 
本科・専科教育段階における支援政策
 
「奨学金・学習支援金、勤労学生、学費ローン、補助、免除+グリーンゲート(緑色通道)」など多元的な支援をします。

  1. 国家奨学金
    特に優秀な2年生以上の本科・専科在校生に奨学金を支給します。1人あたり年8,000元です。
  2. 国家自己啓発奨学金
    品行・学業共に優れた経済的に困難な世帯の2年生以上の本科・専科在校生に奨学金を支給します。1人あたり年5,000元です。
  3. 国家学習支援金
    経済的に困難な世帯の本科・専科在校生を支援します。
  4. 国家学費ローン
    政府主導で、金融機関が高等教育機関に通う経済的に困難な世帯の学生に提供する無担保・無抵当の学費ローンです。在校中の学費および宿舎費の支払いに用いられ、1人あたりの年額は最高8,000元。在学中の利息は全て財政部門が補助します。
  5. 基層部(地方の県以下の地区)就職国家支援
    中央高等教育機関の卒業見込生が自ら志願して中西部地域および生活困難な辺境地区の基層部(県以下)の職場に就職し3年以上奉仕する場合、1人あたり年額8,000元までの学費を補償するか国家学費ローンの返済を肩代わりします。地方高等教育機関の卒業生の学費補償およびローン返済代行は、各地方が中央の政策制定を参照して実行します。
  6. 徴兵入隊服役国家教育支援
    国は徴兵に応じて義務兵役に就き士官となった高等教育機関の学生に対し、学費を補償するか国家学費ローンの返済を代行します。義務兵役に就く前に学生だった高等教育機関の学生(新入生を含む)は、国の規定に従い学籍又は入学資格を保留し、退役後復学又は入学を志願する場合、学費を減免します。退役して1年以上経ってから高等教育機関に入学する自主就職退役士兵学生は学費を減免します。支援基準は1人あたり年額8,000元以内とします。
  7. 師範生公費教育
    北京師範大学・華東師範大学・東北師範大学・華中師範大学・陝西師範大学・西南大学の6つの教育部直属師範大学の公費師範生は、在校中、学費・宿舎費を納める必要はなく、生活費補助も支給されます。教育に従事する意思があり条件に適合する師範専攻以外の優秀な学生は、入学2年以内なら規定に従い師範専攻に転入が可能で、高等教育機関が学費・宿舎費を返還し、生活費補助を追加支給します。その他の高等教育機関師範系専攻の学生は在籍する教育機関に関連施策について問い合わせてください。
  8. 新入生入学支援プロジェクト
    中西部の入学予定者で経済的に特に困難な世帯の新入生は入学支援プロジェクトを申請し、入学手続きをしに行くための交通費と入学後の当面の生活費を受け取ることができます。省内の教育機関の新入生は1人あたり500元、省外の教育機関の新入生は1人あたり1,000元です。現地の県級教育部門に手続き方法を問い合わせてください。
  9. 勤労学生
    学生は学業の余力があることを条件に、授業の空き時間を利用して高等教育機関が手配する勤労学生活動に参加し、労働により合法的に報酬を得て学習および生活条件などを改善することができます。
  10. その他の支援政策と施策
    ■ グリーンゲート(緑色通道):
    経済的に特に困難な世帯の新入生が期限までに学費および宿舎費を工面できない場合、高等教育機関が設けた「グリーンゲート」を通じて新学期の入学手続き期間にまず入学手続きを済ませることができます。入学後、高等教育機関の支援部門が学生の具体的状況に基づき困難度の認定を行い、それぞれに合わせた措置を講じて支援します。
    ■ 学費の減免:
    公立高等教育機関に在学中で経済的に特に困難な世帯の学費を収めることができない学生、特に孤児や障害を抱える学生、少数民族の学生、烈士の子女、傷痍軍人の家族など優遇救済世帯の子女などは、学費の減免支援を受けることができます。具体的な手続き方法は高等教育機関が制定します。
    ■ 補助的措置:
    各高等教育機関は自己資金や民間団体・個人からの寄付金などを利用して奨学金・学習支援基金を設立し、一時的に困難が生じた学生に特別困窮補助などを給付することができます。

 
大学院教育段階における支援政策
 
(大学院生は)本科・専科の支援策は全て受けることができますが、奨学金・学習支援金の金額はより高額になります。

  1. 国家奨学金
    特に優秀な大学院生に奨学金を支給します。うち修士生3万5,000人は1人あたり年2万元、博士生1万名は1人あたり年3万元です。
  2. 学業奨学金
    大学院生に対する学業奨学金の支給範囲・等級・奨励基準および評定方法は各高等教育機関が決定します。基準額は同段階の大学院生が受ける国家奨学金の60%以内とします。
  3. 国家学習支援金
    全国大学院学生募集計画に組み入れられている全ての全日制大学院生(固定給与収入がある者は除く)を支援します。修士生は1人あたり年6,000元以上、博士生は1人あたり年1万3,000元以上です。
  4. 「三助」ポスト手当
    大学院に「三助」(研究助手・教育助手・管理助手)ポストを設置し、「三助」手当を支給します。
  5. その他の支援政策
    大学院生国家学費ローン・基層部就業国家支援・兵役国家教育支援などがあります。申請条件や手続きなどの関連規定は基本的に本科・専科生と同じで、支援基準は1人あたり年1万2,000元以内とします。

 
2019年8月13日
 
中国新闻网:最新2019学生资助政策来了,从幼儿园到研究生全都有![来源・微言教育]
 

地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 政府レベルでの取組
学生の経済的支援 学生向け奨学金
レポート 海外センター