【ニュース・中国】今年度、高等教育機関卒業生の就業呼び込むべく各地で職位設置盛んに

 

中国国内の多くの地方で、企業、政府系事業機関、研究所などが2022年度の採用活動を展開中だ。今年は多くの地方で、職位の設置に力を入れ、末端組織(原文:基層)への就職の門戸を広く開き、高等教育機関卒業予定者向けの就職説明会などを実施している。

 
多くの地方で募集規模を拡大

 
湖北省の某高等教育機関で財務・会計を専攻した2022年度卒の陳さんは、8月に入ってからというもの、毎日のように学校の就職サイトや各大手就活サイトをチェックし、いくつもの会社にエントリーを済ませた。大企業から、武漢や宜昌の事業所に至るまで、最近はどこも募集があるという。

 
今年、高等教育機関の卒業者数は再び記録を更新した。コロナ禍など複数の要因が就職難をさらに加速させた。党中央および国務院はこれを極めて重く見ており、就業の安定を最優先させ、高等教育機関卒業生などの重点層の就業を図る政策を堅持している。

 
国務院弁公庁は5月に「高等教育機関卒業生等青年の就業・起業対策のさらなる徹底に関する通知」を発表し、企業に対し、就業規模の拡大を明確に求めるとともに、公共部門の雇用の安定を図った。
通知では、今年および来年にかけて、引き続き政府系事業機関における高等教育機関卒業生の雇用の安定を図ること、政治と法律を専攻した高等教育機関卒業生に対し末端組織の司法機関への就業の道を開くこと、国家科学技術計画(特別プロジェクト・基金等)を担う高等教育機関、研究所、企業における研究補助職の増員を支援することが示された。

 
人的資源・社会保障部など3部門はこのほど合同で「高等教育機関卒業生に対する都市部と農村部の末端組織募集職位発表の徹底に関する通知」を発表し、農村振興・末端組織管理・産業発展と結びつけ、労働・社会保険、社区管理サービス、医療衛生、高齢者福祉サービス、農業技術、社会扶助、ソーシャルワーク、中小企業サービスなどの職位を積極的に開発するよう求めた。

 
「各地方では今、関連の要求に従い、資源をかき集め、潜在力を掘り起こし、多ルート・多分野から集めた、高等教育機関卒業生の就業に適した末端職位を発表するための準備をしています」と、人的資源・社会保障部就業促進司の張瑩司長は話す。

 
専門家は、こうした措置について、高等教育機関卒業生の就業数をさらに拡大するだけでなく、地方発展のニーズに応じ、末端の公共医療、教育、研究に関する人材を増やす手助けにもなると指摘する。

 
湖北省人的資源・社会保障庁の張国慶副庁長によれば、湖北省では今年、公務員で9,545人、全省の政府系事業機関で3万6,000人、「三支一扶(教育・農業・医療支援と農村振興扶助)」計画で2,200人、合計4万7,700人を超える求人募集計画があり、前年同期比で21.8%増となった。吉林省人的資源・社会保障庁によれば、吉林省では政府系事業機関などの募集規模をさらに拡大し、前年比10%増の2万人余の就業を解決する計画だという。現時点では5,000人ほどの公務員の募集が終わりつつあり、政府系事業機関では1万を超える職位の募集を実施、研究補助職やソーシャルワーカーの募集は継続中だという。

 
広東省では今年、政府系事業組織、国有企業、末端組織など28万3,000に及ぶ求人を行い、2021年からさらに4万近く増やした。
上海市は市内および区内の国有企業に対し、年度募集計画のうち50%以上を上海市内の高等教育機関卒業生に割り当てるよう要請した。
甘粛省教育庁の関連責任者は、2022年、省内では計3万7000あまりの求人を行い、8月末までに採用活動を終えると話した。

 
募集職位は末端組織に偏り

 
各地方が今年増やした職種は、多くが末端組織に偏っていることが分かった。

 
湖北省は、生活条件の厳しい辺ぴな地域における末端の政府系事業機関の募集条件を緩和することで、県や郷の政府系事業機関が現地の緊急募集人材目録に適した4年制大学以上の高等教育機関卒業生を公募できるよう支援している。また、条件の整っている地域は「三支一扶」計画(訳注:大学卒業者等を数年間農村に派遣し、三支(教育支援・農業支援・医療支援)と一扶(貧困援助)の業務に従事させる国の制度。)等の採用人数を適宜増やして、高等教育機関卒業生の農村医師、末端組織の教師、社区職員などへの就業を誘導するよう通達している。

 
山西省共産党中央委員会組織部によれば、同省は現在「農村振興万人計画」と銘打ち、郷鎮機関で人材を募集しており、各村および社区に4年制大学以上の学歴を有する卒業生を最低1名は受入れる用意があるという。同政策は全省2万3,000に及ぶ村および社区をカバーしている。

 
2022年「三支一扶」計画、農村教師特別枠計画、大学生西部ボランティア計画の3つの末端支援プロジェクトでは、全国プロジェクトの募集規模だけでも12万人以上に増加しており、地方ごとの実際の募集はある程度増えている。

 
「各地方が発表した『三支一扶』の募集職位を見ると、主として国家農村振興重点支援県、貧困脱却地域、生活条件の厳しい辺ぴな地域、少数民族地域などの募集が増えています。他にも、各地方が末端の実情に鑑み、農村振興協力員、農村建設助手などの求人を大々的に増やしています」と、人的資源・社会保障部人的資源流動管理司の張文淼司長は言う。

 
「増え続ける社区サービス需要は、高等教育機関卒業生の就業・起業に大きく寄与するでしょう」と、民政部基層政権建設・社区治理司の陳越良司長は言う。「現時点で、全国で都市部社区の正規職8万2,000がすべて高等教育機関卒業生に向けて開放されており、うち2万5,000は高等教育機関卒業生のみを対象としています」

 
卒業生の多くは、今年の省級公務員試験では、末端業務に対する認識および問題解決力を見る内容に重点が置かれていたと話す。

 
募集を加速させ、末端の就業待遇を実行せよ

 
高等教育機関卒業生の就業を促すため、多くの地方では、公務員など公共部門職の求人・採用を加速させている。

 
多くの省(訳注:自治区・直轄市を含む。以下同じ)ではこのほど、2022年省級公務員登用筆記試験の成績を前倒しで発表し、成績発表から面接試験までの期間を大幅に短縮した。

 
コロナ禍による影響を少しでも減らすため、一部の募集では段階的柔軟措置を採っている。各地方における2022年特別枠教師募集では、教員資格の取得について「就業後受験」を認めている。多くの省ではさらに、コロナ禍などが原因で試験を受けられない学生について、費用返却手続きを進めている。

 
目下、安徽省、貴州省、江蘇省などでは、2022年省級機関採用予定者が順次発表されている。黒龍江省などでは、2022年公務員補欠募集が行われており、各地方で高等教育機関卒業生の就業対策が加速している。
高等教育機関卒業生の末端組織・現場への就業をさらに誘導、奨励するため、国務院弁公庁は通知を印刷・配布し、中西部地域、生活条件の厳しい辺ぴな地域、旧工業基地の県以下の末端組織に就業する高等教育機関卒業生に対して、規定に基づき学費補償、国の教育ローンの代位弁済、試用期間の給与の本採用基準への引上げなどを行い、中でも政府系事業機関の正規職員として採用された場合は、規定に基づき試用期間を前倒しして本採用とする旨を強調している。

 
河北省では、生活条件の厳しい辺ぴな地域の県以下の政府系事業機関に就業する高等教育機関卒業生に対し、新たに公務員として採用される場合、試用期間の給与を試用期間終了後の給与に準じて支払い、試用期間中の試験に合格後の級別給与を2段階引き上げると明示している。

 
新华社 2022/08/22


澎湃新闻: 今年多地积极挖掘岗位,引导高校毕业生到基层就业


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