【ニュース・中国】今年の卒業シーズンの就職市場は「クラウド採用」が主流:ライブ配信が就活の新たな架け橋に(2)

 
1,000万の求人が「クラウド」上に

 
卒業シーズン真っ只中で、1,076万人の卒業生が続々と学び舎を出て職場に入る準備を進めている。現在、国内外の環境に多くの不確定要因が存在する中、卒業生の生活習慣に適したインターネットなどによる採用ルートを開拓し、より早く正確に雇用を促進することが差し迫った課題となっている。そのうち、ライブリクルートは一躍、幅広く用いられる採用活動形式となっており、求人企業がライブ配信ページに登場することは日常茶飯事である。大勢の求職者がライブ配信ページを職探しの「ファーストステップ」としている。ライブリクルートは人気とアクセス数をもたらし、各業種に浸透しつつある。

 
5月以降、「職等你来 就業同行(職はあなたが来るのを待っている)」という100日で1,000万人のインターネット求人特別キャンペーンが全国で継続して進められている。全国統一の、多方面の関係者が連携したネット採用プラットフォームであるこの超大型「企業説明会・面接」ではライブリクルートコーナーが特別に設けられ、全国各地の人材募集市場がライブ配信ページに登場した。採用情報が絶えず更新され、経済発展のリズムに息を合わせて脈動している。

 
各地では次々と分科会が設けられた。成都では、大学卒業者が外出することなくオンラインで就活が行えるよう、一連のオンライン企業説明会・面接を押し広め、企業と高等教育機関に「クラウド」によるワンストップ型の就職マッチングサービスを提供した。済南では、人的資源・社会保障部門がショートムービーアプリ「快手」で「クラウド職場訪問ライブ配信」を打ち出した。求職者はライブ配信を通じて企業の環境、条件をあらゆる面から考察できるほか、企業とリアルタイムで交流し、採用情報を深いレベルで知り、さらに短時間で履歴書を送付することができる。また、企業は快手の公式アカウント「快招工(クイック採用)」で採用情報を発信することもできる……。

 
業種・地域別で設けられたライブ配信ページに入ると、求職者たちの間には卒業生の姿も多く、採用企業も採用枠を若者の求職者の方に広げていることが見て取れる。

 
西部証券股份有限公司人的資源部の採用責任者である江永氏によると、「この数年、ライブリクルートを何度も利用して卒業生を採用してきました。このような形式は手軽に参加でき、カバー範囲も広く、採用企業側のブランドPRにも役立ちます。また、会社の文化や価値観なども直接紹介することができ、このような形式で採用した社員は企業文化に対する共感の度合いが高いです」という。

 
学内説明会からの変化

 
2021年 TK Elevator に入社した留学経験者の呉昊天さん(男性)は、広東省中山出身。昨年夏、バス停を通りかかった際に、中山人材網に掲載された「中山市高等教育機関卒業生向け公益インターネットライブ配信企業説明会・面接」の広告をふと目にし、それで二次元コードをスキャンしてライブ配信ページにログインし、履歴書を送付し、動画面接を受け……気がつけば、このメーカーの機械エンジニアとなっていた。「専門分野は機械ですが、外国語も強みとしているので、この仕事は地元で就職したいが強みも生かしたいという自分の希望に沿うものでした。オンライン企業説明会・面接はオフラインと比べ、時間の節約になるほか、企業の状況をはっきりと知ることができ、ライブ配信企業説明・面接会は若者の就職にとても役立つと思います」と呉さんは話す。

 
地元で就職した呉さんとは異なり、今年黒竜江科技大学計測制御技術・装置専攻を卒業したハルビン出身の張茵茵さん(女性)は地元を離れて就職した。学校の就職支援センターの職員がWeChatグループにシェアしたお知らせをきっかけに、遠く離れた中山市で開催されたライブ配信企業説明・面接を視聴し、自分の長所や好みに基づき、大洋電機にエントリーした。書類選考、一次面接などの段階を経て、この企業の内定を獲得した。これまで一度も遠出をしたことのない張さんはこの数日で荷物を整理し、就職のために大湾区へ引っ越す。

 
「親しい先輩や友だちはみんな広東に就職しました。私も広東に行きたいと思っていました。大学生の就活で最も難しい点は経験がないことです。もともとはオフライン説明会・面接に向けてたくさんの準備をしてきましたが、直前になってオンライン就活を余儀なくされ、難度がいっそう高まりました。実際、オンライン動画面接は対面の面接より難しく、自分をうまくアピールすることができません。万が一、通信が切れてしまったら厄介であり、今年このような納得のいく仕事が見つけられたことはラッキーだと思います」と張さんは話す。

 
一方、インターネット時代には大量の求人情報が出回っているが、就職活動に関しては、圧倒的多数の卒業生が依然として学校から提供された就職情報を頼りとしていることが取材で分かった。この2年間、学内企業説明会が思うように開催できない中、大学で就職指導を担当する職員の多くは、卒業シーズンの重要な仕事として、毎日あちこちから採用情報を集め、それらのリンクを学生に送信するという作業を行っている。

 
学校は学生を就職へと導く案内役を担っている。就職活動におけるインターネットの比重がよりいっそう高まる中で、学校はどのようにして学生の就職をサポートすればよいのだろうか。この点について、北京交通大学就職・起業指導センターの張博センター長は「学校推薦が就職への主なルートです。昨年、卒業生の就活向けに企業説明会・面接を600回余り開催しました。今年はコロナ禍の影響で、学内の企業説明会は1度も開催できない状況です。そのため、オンライン企業説明会・面接を積極的に推し進め、さまざまなルートや場で5万余りの就職先を学生達にすすめました。現在、卒業生の就職率は85%に達しています」と説明した。

 
学生が首尾よく就職する、よい就職先を見つけられる、それが学校の願いであり、そのためには社会全体の努力が必要となる。今年は雇用の主な受け皿である企業が学校とより密接に連携し、学内企業説明会・面接にもクラウドの仕組みが導入された。

 
コロナ禍では、企業が学内で学生と対面の交流を行うことができない。そこで、北京鏈家は企業の公式WeChat動画アカウント、抖音、ビリビリ動画などのプラットフォームを通じて「北京鏈家2022春採用オンライン発表会」を開催した。このライブ配信が始まると、最高1万人が同時に視聴した。北京鏈家人的資源センターの曽晶総経理は「今年は募集枠で言うと6,000人の採用予定で、そのうち不動産仲介担当1,500人余りは新卒者を採用し、全国200校余りの大学をカバーしています」と説明した。

 
>>> 次へ、つづく


澎湃新闻: “云招聘”成今年毕业季就业市场主流:直播带岗搭建新桥梁


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 学生の就職
社会との交流、産学官連携 産学官連携