【ニュース・中国】メディア掲載記事:大学生の就職率が低い背景こそを探るべき(2)

 
データ自体がニュースになるべきではなく、データの背景にある理由こそがニュースになるべきである。周知のように、高等教育では学部生が主体であり、人数も重要性も大きい。華中師範大学のデータによると、学部生の4分の1以上が就職先を確保できていない。その原因は、学生や専攻・学科にあるのか、それとも学校、業界や社会にあるのか。このことこそが、最も探求されるべきである。

 
加えて、現在の就職環境も変化している。かつての「単位社会」と比べて、学生の卒業後の選択肢は増えている。大学で体系的な教育を受けた後、必ずしも特定の企業に入社しなければならない訳ではなく、さらには、すぐに就職しなければならないという焦りもない。このような場合、前述した外部要因のいずれもほとんど関係がなく、就職しないのは学生自身の人生の選択に起因するものである。

 
率直に言うと、中国の大学はさまざまな階級や階層に分かれており、すべての大学で、学校や専攻の運営を判断する重要な基準として就職率データを用いるべきではない。特に、中国の高等教育の発展をリードする大学では、どのようにしてより包括的かつ啓発的な教育を学生に提供するかが最も重要なことである。

 
高等教育の内容は、少なくとも「教養教育」「知識教育」「技能教育」の三種類に分けることができる。教養教育は、現代社会において、素養教育、学識教育、ジェネラリスト教育など、さまざまな名称で呼ばれるが、その目的はすべて、健全な人格、高い道徳性、洞察力、市民としての社会参画の意識を備えた「全人格的な」学生を育成することである。

 
教養教育とは、心を啓発し、心を明るく照らす知恵の教育であり、学生の生命力を奮い立たせ、市民として公的生活に参加することを奨励し、訓練を通じて学生に緻密な論理的思考と明確な表現能力を持たせるためのものである。これらのカリキュラムは「無用の学」と見えるが、実は一生役に立つ内容がある。知識教育は基本的に専門教育であり、技能教育は主に実践的な教育であると言ってよいだろう。

 
就職率は、これら三種類の教育すべてに関係しているが、就職率が高くないからといって、学校や学生、あるいは特定の専攻を否定的に評価してはならない。就職率は各要素が総合された結果であるのだから、総合的に見るべきである。データ自体がニュースになるべきではなく、データの背景にある原因こそが、真に注目すべきニュースなのである。(筆者は中国伝媒大学教授・博士課程指導教員)

 
2022/01/16


澎湃新闻: 媒体刊文:高校就业率数据不高,背后缘由最该被挖掘


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 学生の就職