【ニュース・中国】重要な中核技術の克服に焦点、北京大学の3つの重要インフラプロジェクトが今年竣工へ

 

3月16日、北京大学は建設を請け負っている北京懐柔科学城のうち、多モードトランススケール生物医学撮像ステーション、北京レーザー加速イノベーションセンター、軽元素量子材料クロスプラットフォームの3つの重要インフラプロジェクトが今年竣工することを本紙に明かした。

 
このうち、多モードトランススケール生物医学撮像ステーションは、生物医学撮像分野における中国初の国家重要研究インフラで、北京大学が法人として建設を進めてきた国家重要研究インフラでもある。同施設の首席研究者は、北京大学未来技術学院教授で中国科学院院士の程和平氏が務める。

 
撮像ステーションの研究対象は、分子スケールから個体スケールまで9桁を超える範囲をシームレスにカバーしており、機能/分子およびその構造/形態解析画像撮影に革命的研究手段を提供し、生命体の構造と機能のスケールを超えた可視化と精確な測定を実現する。

 
撮像自体は難しいことではないが、多モードトランススケール画像撮影を利用していかに生命活動や重大疾病の解析を行うかが、これまで生命科学や医学における重要問題となっていた。多モードトランススケール生物医学撮像ステーションには、多モード医療撮影装置、多モード生物細胞撮影装置、多モード・高解像分子撮影装置、マルチスケール画像データ整合システムの4つの装置、それに動物モデルおよびサンプル調製補助プラットフォームが備えられており、これらの秘密兵器を駆使することでハイエンドな生物医学撮像機器の「内製」化を推進し、人体内部のミクロ細胞の精密な「撮影」を実現し、生命や疾病の謎を解くことが期待されている。

 
北京レーザー加速イノベーションセンターの責任者は、北京大学物理学院の顔学慶教授、プロジェクト責任者は北京大学物理学院教授で中国科学院院士の陳佳洱氏だ。同センターは放射線医学、先端物理学、持続可能な核エネルギー、先端材料などの分野における重要問題の研究に資するだけでなく、豊富な機能により、中国の先端粒子加速器や新型光源分野の研究インフラ整備の水準を向上させ、中国における次世代の先端加速器および先端光源研究の最先端拠点となることが期待されている。

 
軽元素量子材料クロスプラットフォームは、世界初の軽元素量子材料に関する総合研究センターである。同施設の責任者は北京大学物理学院教授でアメリカ物理学会会員の江穎氏、プロジェクト責任者は北京大学物理学院教授で中国科学院院士の王恩哥氏が務める。同プラットフォームは、量子材料の設計と予測、量子材料の精確な調製、量子物性の精密な観測と制御、量子デバイスの加工とテストの4つの研究部門を重点としている。プラットフォームは竣工後、エネルギー、環境、情報、生物などの分野における破壊的技術や材料の模索、および関連する量子現象の応用・開拓の面で重要な役割を務め、中国が世界の量子材料研究および産業化をリードするための堅固な基盤を築くことが期待されている。

 
このほか、北京大学懐密医学センター分子影像・医学診療探査イノベーションプラットフォームなども大々的に建設が進められている。同センターは、世界一流の医学教育、最先端交差研究、イノベーション実用化センターを創り上げるという重点目標を掲げ、ハイレベルの医薬・衛生人材を育成し、医療技術イノベーションのハイレベルな自立強化をサポートし、人材育成・科学研究・臨床研究関連のプラットフォームと組織が一体化した施設となる。また、イノベーション成果の実用化、応用モデルとメカニズムを構築することで、学科の壁を超え、新薬開発、医療設備、基幹技術などの分野でもブレークスルーを果たし、大きな影響力を持つ新理論・新技術・新メソッドを確立することにより、「健康中国」「イノベーション主導型発展」等の国家戦略に応えることも期待されている。

 
北京大学の関連責任者は、懐柔科学城は北京大学にとって、中核・基幹技術を克服するための新天地となるはずだと話している。

 
2022/03/16


澎湃新闻: 聚焦关键核心技术攻克,北大三个重大项目基建工程今年将竣工


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