【ニュース・中国】複数の大学が卒業生の就職状況を発表:海外へ進学する学生が減少、柔軟な就職が新たな選択肢に(2)

 
国家重点産業事業体が好まれ、基層就職は増加

 
ここ数年の大卒者の就職動向を見ると、「母国が必要とする所へ行く」ことが、より多くの名門大学出身者に認識される就職の方向となった。多くの大学の「就職状況報告書」でも、国家重点産業や事業体、中西部地域や基層に行く卒業生が年々増えていることが示されている。

 
例えば、西安交通大学の2021年卒業生は8,993人で、国家重点業界と重点事業体に就職する卒業生が全体の56.29%を占め、そのうち国有資産監督管理委員会直属の中央企業や重要研究機関に就職するのは21.76%、上海交通大学本部校の卒業生は、国防科学技術部門と軍部隊に342人就職し、2020年より32人多くなっている。過去5年間、上海交通大学本部校から国防科学技術部門と軍部隊に就職した卒業生は1,139人で、年々増加傾向を示し、北京交通大学から国家重点分野(情報技術、鉄道輸送、建設、金融、電力、軍事産業)に就職した卒業生の割合は2021年内定済み卒業生のうち66.47%に達している。
 
西部へ、基層へ向かうことで、大学生の就職先も増えてきている。

 
統計によると、清華大学の2021年卒大学生の50%以上が北京以外の事業体での就職を選択し、200人以上が西部と東北地方に行き、基層の公共部門に就職した。西安交通大学の2021年大学卒業生のうち、多くの学生が率先して西部地域、基層の現場など母国が最も必要としている場所での就職を選択した。西部地域に就職した比率は49.61%に達した。中国政法大学では271人が西部や基層組織で働くことを選択している。

 
基層組織に就職することを条件に入学を許可された「指定枠募集生」制度も多くの名門大学の卒業生が基層でキャリアを積むための主要な方法の一つとなっている。南開大学では311人が国や地方の基層への就職プロジェクトに取り組んでいる。上海交通大学の最近5年間、本部校の卒業生のうち「指定枠募集生」の就職者数が合計836人で、その数と質は年々着実に向上している。華東師範大学の「指定枠募集生」の就職者数は126人で、昨年より38人増え、就職先は27省(自治区、直轄市)に及んでいる。

 
業界の選択では、金融業、教育業、情報技術サービス業、公共管理・社会組織、科学技術分野などが卒業生に人気の高い就職分野となっている。

 
例えば、清華大学の2021年大学卒業生が三者間就職協定を結んだ業種のトップ3は、情報伝達・ソフトウェア・情報技術サービス業、教育、行政、社会保障、社会組織の順となっている。北京大学の2021年卒業生は、主に情報伝達・ソフトウェア・情報技術サービス、教育、金融、行政、社会保障、社会組織に就職している。

 
このほか、独自の学問的特徴を持つ多くの大学は、就職産業において明らかな傾向性を持ち、学校教育や人材育成の方向性に優位性を有している。

 
例えば、中国政法大学の卒業生は国家党・政府機関に就職する割合が高く、873人が関連機関に就職し、入職を果たした事業体総数の42.05%を占める。北京交通大学の2021年内定済み卒業生のうち、鉄道輸送業に就職した学生は792人で、就職決定者の17.57%を占めた。華東師範大学の卒業生は教育業に就職する割合が最も高く42.94%である。

 
何社にエントリーすればオファーを受けるのか

 
仕事を見つけるのは簡単なことではない。多くの学校が発表している「就職状況報告書」から判断すると、これらの名門校の卒業生は、満足のいく就職をするために多くの努力をしており、就職活動の開始から就職が決まるまでに数か月を要することも少なくない。

 
例えば、西安交通大学の報告書によると、2021年卒は就職活動の準備に比較的余裕があり、68.94%が1年以上を就職活動にかけている。また、南京大学の2021年大学卒業生が就職活動に使った平均期間のうち、23.17%が2~3か月、26.47%が3~6か月を要した。

 
名門大学の大学生の場合、何社にエントリーすれば内定が出るのだろうか。多くの大学のデータによると、多くの卒業生が20~30社にエントリーする必要があり、選考の結果、ほとんどの学生が2~3社の内定を得ることができるそうだ。

 
南京大学では、卒業生の50%以上がエントリーした企業は10社以内だとしているが、修士課程修了生は学部卒や博士課程修了生よりもエントリー数が多かった。上海交通大学の調査によると、学部生の場合、平均エントリー数は13.47社で、面接に至ったのが5.47社、内定に至ったのが2.31社、内定までの平均期間は2.52か月だった。大学院生の平均エントリー数は22.23社、面接に至ったのが9.60社、内定に至ったのが3.25社、内定までの平均期間は3.09か月だった。

 
また、南開大学の卒業生は、就職活動中に平均31.62社にエントリーし、平均10.28社の面接に呼ばれ、平均3.01社の内定を獲得している。華東師範大学の卒業生は、昨年より0.87社少ない平均23.34社にエントリーし、平均2.92社の内定を獲得し、学歴別では、修士課程修了生が3.29社と最も多く、次に博士課程修了生(2.39社)、最後に学部生(2.25社)の順であった。

 
大学生の就職は、人々の生活や社会の発展に関わる重要な課題である。近年、教育部や人的資源・社会保障部などの関連部門は、さまざまな政策や施策を通じて大学生の就職を支援しており、大学が発表する「就職状況報告書」も就職活動の重要な要素となっている。

 
ビッグデータ時代には、大卒者の就職を促進し、就職の質と効率を高めるために、適切で効果的な就職情報を提供することが必要であると岳昌君氏は考える。「近年、大学は毎年、大卒者の『就職状況報告書』を発表していますが、全国的な「就職状況報告書」は存在しません。大卒者の総合的なデータをもとに、全国的な報告書を発表することを推奨したいと思います。」

 
また、岳昌君氏は、より充実した質の高い雇用を実現するためには、大学卒業生の人材育成の質、学生の興味や専攻とキャリアのマッチングを向上させることが必要であると述べた。

 
「『質の高い雇用』、いわゆる『いい仕事』の基本条件は、自分の興味や専攻とキャリアを一致させることができることです。自分の興味に応じて専攻を選択してこそ、よく学ぶ熱意を持つことができ、専攻に応じてキャリアを選択してこそ、学びと実用を両立させ、人的資本の水準をよりよく発揮することができるのです。したがって、興味、専攻、キャリアのマッチングは、就職の質を左右する重要な指標となります。」と、岳昌君氏は言った。

 
2022/02/14


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地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 学生の就職