【ニュース・中国】複数の大学が卒業生の就職状況を発表:海外へ進学する学生が減少、柔軟な就職が新たな選択肢に(1)

 
この間、多くの「双一流(世界一流大学・一流学科)」構築大学が2021年度卒業生の「就職状況報告書」を発表した。

 
教育部の統計によると、2022年の大学卒業者数は前年比167万人増の1,076万人に達し、規模、増加率ともに過去最高を記録する見込みだ。旧正月を迎えたばかりの2月6日、国家発展改革委員会は文書を発表し、大卒者の雇用促進を今年の雇用業務の最優先課題とするよう指摘した。卒業生の動向は社会にとって大きな関心事である。

 
中青報・中青網の記者はこのほど、複数の有名大学の2021年度大学卒業生の「就職状況報告書」を整理した。コロナ禍により、これらの大学卒業生の海外への進学者数が影響を受け、国内の進学者数が確実に増加した。就職の選択において、卒業生の間で柔軟な就職などの新しい雇用形態が生まれた。地域の選択においては、一流都市以外と基層(訳注:末端組織、草の根組織を意味する中国語)への就職が卒業生の新たな選択となった。
 
海外へ進学する卒業生が減少、柔軟な就職が新たな選択肢に

 
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響などを受け、大学生の海外留学比率は総じて減少している。

 
近年の北京大学と清華大学の「就職状況報告書」を見ると、2019年の北京大学卒業生の海外(香港・マカオ・台湾を含む)留学(遊学)者数は1,155人で、割合にして14.79%、2020年は1,084人で13.34%に減少、2021年は793人で8.17%に減少した。このうち、海外(香港・マカオ・台湾を含む)に留学する学部生は、2019年の30.01%から18.9%に減少した。

 
清華大学では、卒業生の海外(香港・マカオ・台湾を含む)進学率は2019年に15.3%、2020年には9.6%に低下、2021年には517人まで減少し、2年前と比較して半分となる6.9%にまで低下した。

 
いまやその数字は多くの有名大学で10%、あるいはそれ以下にまで落ち込んでいる。例えば、北京理工大学の2021年学部生全体の進学率は64.31%、海外(香港・マカオ・台湾を含む)進学率は10.77%、東南大学の2021年学部生の中国国内での進学率は48.26%、海外進学率は10.53%、上海交通大学本部校の2021年卒業生の中国国内での進学率は25.32%、海外(香港・マカオ・台湾を含む)進学率は8.91%となっている。南開大学の2021年卒業生のうち海外進学を選択したのは523人で、卒業生全体の7.16%にすぎず、東北大学の2021年卒業生が海外(香港・マカオ・台湾を含む)留学を選択した割合は4.8%であった。

 
また、経済・社会の発展に伴い、さまざまな雇用形態が登場している。ILO(国際労働機関)が2016年に発表した報告書『世界の非標準的雇用:課題の把握と今後の展望』では、過去数十年の間、先進国も発展途上国も標準的雇用から非標準的雇用への転換を経験しており、世界各国では非標準的雇用が一般化していると指摘されている。「一般的に、非標準的雇用は『標準的な雇用関係』以外の以下の4つの雇用形態に大別される。

  1. 非常勤雇用
  2. パートタイム雇用
  3. 派遣労働やその他の複数当事者が関係する雇用形態
  4. 隠れ雇用(関係)と従属的自営業

非標準的雇用の増加はさまざまな要因が複雑に絡み合った結果で、経済のグローバル化が労働市場にもたらした変革の現れだと言えます」と北京大学教育経済研究所の岳昌君教授は解説する。

 
今年に入ってから、多くの大学の報告書の中で、「柔軟な就職」が非常に強い存在感を示すようになっている。

 
南京大学の2021年学部卒業生のうち218人が「柔軟な就職」で7.01%、上海交通大学本部校の2021年学部卒業生のうち241人が「柔軟な就職」で7.57%、華東師範大学の非公費かつ教員志望者以外の学部卒業生の11.9%が「柔軟な就職」、修士課程修了生の3.07%が「柔軟な就職」、博士課程修了生の4.14%が「柔軟な就職」だったと報告された。

 
北京大学が2003年から行っている「高等教育機関卒業生の就職状況に関する全国調査」によると、卒業生の就職先構成に占める「事業体による雇用」の割合は50%を下回っている。逆に、「起業」「フリーランス」「その他の柔軟な就業形態」といった非標準的就業の割合は総じて増加傾向にあり、大卒者が直面し、受け入れなければならない就業形態となっている。

 
2022/02/14


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地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 学生の就職