【ニュース・中国】博士課程を4年制に 30を超える大学で課程を延長(2)

 
博士号取得という関門 環境が整えば研究レベルも上がる

 
こうした改革の裏には院生教育の規律を尊重したいという狙いがある。しかし、在学期間の延長は博士育成に十分な時間が得られる一方で、人材に対してもより高いレベルが求められる。2020年、国の関連部門・委員会は「大学におけるSCI論文関連指標利用を規範化するための正しい評価ガイドライン構築に関する若干意見」と「科学技術評価における『論文を書きさえすればよい』という不健全な指導の排除に関する若干の措置(試行版)」という二つの重要文書を連続で発表した。論文代表作制度を提案したことにより、論文の質に注目が集まることとなった。教育部弁公庁は2019年2月に「大学院生育成管理のさらなる規範化と強化に関する通知」を発表し、学位論文と学位授与の管理を徹底するよう求めている。

 
国の関連文書は次のように定めている。博士と修士の学位論文に対する抜き取り検査の割合は前年度に全国で学位が授与された人数のそれぞれ約10%と5%とする。院生の学位論文の「自己引用率」についても「20%未満」から「10%未満」へと引き下げられた。また、大学でも論文の査読に力を入れるようになっており、匿名の論文を査読する専門家を3名から5名に増やしている。

 
ただし、一人でも「不合格」が出ると論文は差し戻され、書き直しが必要になり、かつその後の修正率が50%に達しなければ同じ専門家による再査読は受けられない。文系の学生にしてみればこれは青天の霹靂と言うほかない。歴史、法律、文学といった学科では論文の引用が極めて多い。その結果、「真面目に書くほど再審査率が上がる」ことにもなりかねないのである。

 
在学期間延長のプレッシャーあるも捌け口なし

 
博士号取得は決して容易なことではなく、在学期間延長はすべての学生にとって「悪夢」である。彼らの在学中の生活費は国からの補助や各種奨学金、指導教員からの給与や手当で賄われ、どうにかやりくりをして日々を過ごしている。結婚して子供が生まれれば経済的負担はさらに大きくなる。年齢も30に近づけば、同年代は初任給をもらったり、マイホームやマイカーを手に入れたりする頃である。だが、自分はまだ実家に小遣いをせびっているのだからそのストレスは言うまでもないだろう。

 
一旦、在学期間が延びれば人生設計すべてが狂わされる。住むところにも困る。大学によっては在学期間が延長になった学生を寮から追い出すこともあるからだ。博士号が取得できなければ春秋の就職活動の苦労も水の泡だ。内定をもらい、入社の契約書類にサインしているので違約金発生のリスクもある。都市や大学によっては教職に年齢制限が設けられており、ほとんどの有名校が満35歳までとしている。

 
中には32歳、さらには31歳未満の博士号取得者しか採用しないというところさえある。もし博士課程入学の時点で一定の年齢に達しており、さらに在学期間も延長となれば、せっかくの博士も無駄となってしまう。博士号取得は困難を伴う。学歴ピラミッドの頂点に立つには人生の四分の一の時間をつぎ込まなければならない。しかも、取得したとしてもそれはきっと新しい人生の始まりにすぎない。その後もまだ大学での業績評価や職場でのKPIに応えていかなければならないのだから。高みを目指す道程は苦難に満ちている。しかし、努力は報われるとの言葉があるように、いつか成功の女神が微笑んでくれる日まで頑張るしかない。

 
2021/12/01


青塔: 博士4年制!超30所高校延长学制!


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の就職