【ニュース・中国】博士課程を4年制に 30を超える大学で課程を延長(1)

 
「三十にして立つ」という言葉があるが、博士を目指す者にとって30歳で学生の身分から解放され、博士号を取得できたなら、それはかなり成功していると言える。あるデータによると、2019年、中国の博士課程に在籍する院生の修了見込み人数は17万2,824人であったが、実際の修了者数はわずか6万2,578人、約63.8%の学生が修了ラインに達しなかったことになる。博士課程に進める学生というのは皆、町一番の秀才で、大学受験、院試、博士課程進学まではとんとん拍子で来ているため、博士号取得を前に人生で初めて大きな挫折を経験することになる。

 
在学期間延長の流れに

 
博士課程の在学期間延長率が高止まりを見せており、中国の高等教育において大きな問題となっている。過半数を超える博士課程の院生が期間内に修了できず、3年制の院生が8年かけても博士号を取れないという状況もある。ある学術系SNSでは江蘇省のある985プロジェクト認定校で理論経済学を研究する学生が、次のような投稿をして修了を喜んだ。

 
「期間の延長が一年半で済んだのは同期の中でもかなり恵まれている。」高止まりする延長率からも、3年という在学期間が博士の育成に不十分であることは明らかで、中国国内のハイレベルな研究型大学の改革において期間延長は必然的な流れとなるだろう。2020年8月、中国伝媒大学は大学院生教育会議を開き、院生教育大改革をスタートした。

 
今回の教育改革において最大の焦点となっているのが「博士課程の在学期間を原則3年から4年とし、修了が認められる在学年数を8年から6年に短縮する」という点である。中南大学は今年7月、「2017年以降に入学した院生の修了までの在学期間とその延長可能年数に関する説明」を発表した。その中で「院生の在学期間について、修士は3年、博士課程は4年とし、修士課程の学生のうち優秀な者については半年間前倒しでの修了を可能とする」とした。

 
ハルビン工業大学も在学期間に関する重要文書を発表し、各学部は学科の特徴や人材育成目標に基づいてそれぞれ基本在学期間を定めるものとし、修士課程の期間を2年から3年に変更するとした。また、一般の博士課程で学ぶ者については基本在学期間を4年とし、特別に優秀な学生については前倒しでの修了も可能とするとしている。

 
事実、各大学は現在すでに在学期間を4年制に変更している。世界トップクラスの大学42校のうちすでに30校が4年制を導入、その多くで在学期間には3~4年と幅を持たせているが、博士課程4年制への移行が進みつつある。

 
延長率の高止まり

 
博士号の取得は実際、ますます難しくなりつつある。大学院生になるまでの20年近い就学生活において多くの人は無意識のうちに「合格イコール卒業」と考えている。しかし、博士号は中国の学歴ピラミッドの頂点にあり、ハイレベルな学術的成果がなければその取得は極めて困難である。学生の大多数は博士課程進学時には意欲に満ち溢れ、「世界を驚かすような大発見をする」と大志を抱き、在学中に権威ある学術雑誌へ論文が掲載されることや大型プロジェクトに参加できることを夢見る。しかし、論文を何度も書き直し、ブラッシュアップする過程で、質の高い論文を完成させるのに3、4年という時間はあまりに短いということに気付く。

 
論文執筆が遅れるにつれ、若くて意気盛んであった学生たちは現実に打ちのめされ、やっと「CNSがどれほど難しく、博士号取得がそれ以上に大変なことであるか」を悟るのである。中国の高等教育最後の難関、博士号取得への道程は過酷さを増している。例えば、北京の某師範大学は、学術論文4本以上を公式に発表(うち1本はCSSCI誌に掲載)するか、CSSCI誌で2本以上発表し、その論文の筆頭著者が院生本人(指導教員との共著も筆頭著者と見なされる)であることを条件としている。また、浙江省の某大学は「在学中にSCI論文を2本発表し、かつ一定程度のインパクトファクターがあること」を条件に課している。博士号取得は決して簡単なことではない。

 
2021/12/01


青塔: 博士4年制!超30所高校延长学制!


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の就職