【ニュース・中国】2024年新大学受験制度の選択科目に動き:理工系学部の多くが物理と化学の両方を選択するよう求める

 
2021年秋入学の新大学入試対象地区の高校1年生は、そろそろ科目選択の問題に直面する。甘粛省教育試験院はこのほど、「2024年甘粛省普通大学
入学学部選択科目要件」(以下「選択科目要件」)を発表した。「選択科目要件」によると、今回甘粛省では、3万4,670の本科学部を含む計6万4,092
の大学の学部が選択科目要件を提出している。学部選択科目の組合せは23通りあり、そのうち科目要件に言及していない本科学部数は、本科学部総数の43.76%、物理を含む科目の割合は51.79%、化学は46.46%、歴史は1.74%、「物理+化学」は45.98%である。

 
注目すべきは、異なる省の学生が大学で専門を学ぶ際に共通の知識基盤を確保するために、教育部は、同じ大学の同じ学部は、提出する選択科目要件をすべて
の大学入試総合改革対象省で同じにしなければならない
と要求していることである。

 
つまり、「選択科目要件」は、科目選択やクラス分けに直面している新大学入試対象地区のすべての高校生にとって参考とすべきものであることを
意味する。2024年に新大学入試対象地区の受験生が本科を受験する時には、大学の理工系学部の募集条件として「物理+化学」が主流となり、文系寄り
の科目を組み合わせる学部は、理系寄りの科目を組み合わせる学部に比べて、大幅に少なくなると考えられる。

 
新しい大学入試では「物理+化学」をなぜ標準的な組み合わせとするのか。

 
今年9月、甘粛省など7つの省が大学入学試験の総合改革案を発表し、2021年秋入学の新入生から「3+1+2」と呼ばれる新しい入試方式を導入し、
2024年から大学入試を文系と理系に分けないことなどを発表した。2014年に最初の大学入試総合改革の試行が実施されたのを皮切りに、中国
では21の省(市、区)で四期に分けて大学入試総合改革が行われている。

 
第一期、第二期の大学入試総合改革を実施した6地域では「3+3」方式が取り入れられた。この方式では、国語、数学、外国語の3科目を必須科目
とし、受験生は他の6科目の中から3科目を選択して大学入試の総得点に加算することができる。第三期、第四期の大学入試総合改革を実施した
15地域では「3+1+2」方式が取り入れられた。即ち、国語、数学、外国語を必須科目とし、受験生は物理、歴史の2科目のうち1科目を第一選択科目
とし、思想政治、地理、化学、生物の4科目のうち2科目を再選択科目とする方式
だ。

 
新しい大学入試で最も明らかな変化の一つは、生徒に十分な自由選択権を与えたことである。しかし、「3+3」方式から「3+1+2」方式へ、さらに
また「選択科目要件」で「物理+化学」となり、「理系学部選抜が主流」というシグナルが伝わることは、生徒の自由な選択権が制限されること
を意味しないだろうか。なぜこのような変化が起きているのだろうか。

 
これに先立ち、国家教育試験指導委員会専門家チームの陳志文氏は、澎湃新聞のインタビューで、大学入試総合改革により生徒の選択権が強化され、
それが特に顕著なのは「3+3」方式であると指摘した。しかし、実利的な科目選択により、物理を選択する受験者数は著しく減少した。一方、物理
学科の基礎は他の科目では代替できないことから、「3+1+2」方式が誕生した。これは受験生の選択権にさらなる誘導と制限を与えることになった。
このような調整の背景には、実利的な科目選択を抑制するためという事情があり、これはまた大学の人材育成の基本的な要求でもある。

 
「選択科目要件」で、新しい大学入試モデルにおいて「物理+化学」の組み合わせが強化されたのは、今年7月に教育部が発表した「普通大学本科
募集学部選考科目要件に関するガイダンス(汎用版)」(以下「ガイダンス」)と関連がある。
 
 
陳氏は、「ガイダンス」では、試行版と比較して物理と化学の科目選択の要件が大幅に強化されていることを指摘し、2つの点が顕著であるという。
1つ目は、医学系を含む経済・金融・経営系の一部の学部で、従来は物理を選択しなくてもよかったのが、物理を選択しなければならなくなったこと、
2つ目は、多くの理工系学部で化学を選択しなければならなくなったことである。例えば、以前は化学を選択しなくてもコンピュータサイエンスを
選択できたのが、現在では化学の選択が必須となっている。つまり、案は依然として「3+1+2」方式であるが、学科の専門性を強化するために選択
科目が制限されたため、理工系学科が事実上「3+2+1」方式に変質したという評価も出ている。

 
「ガイダンス」は、「3+3」方式や「3+1+2」方式の見落としや欠陷を補完するものであり、実利的な科目選択や、「物理冷遇」「化学放棄」など
の問題を回避するためのものである。

 
新しい大学入試ではどのように科目を選んだらよいか。

 
新しい大学入試では、どのように科目を選択するかが生徒や保護者の大きな関心事となっている。これに対し、陳氏は特別に記事を書いてアドバイスをしている。

 
「一般的には、まず自分自身を見つめ直し、自分の興味に基づいて、将来何に携わりたいのかを最初に決め、その最初の考えに基づいて大学の学部を決める。その後に大学を特定し、その大学の学部要件に基づいて明確な決定を行う」と陳氏はアドバイスする。

 
このほか陳氏は、2つの原則的な意見も出している。 

 
1つ目は、いきなり高得点を目指すのではなく、その前に必ず自分のやりたいことの大まかな方向性を考えておくこと。

 
陳氏は、新しい大学入試では、以前と異なり、点数が絶対ということはなく、点数の価値は受験生が選択するコースの内容により異なると指摘する。
そのため、ひたすら高得点を目指すのは適切ではなく、本末転倒になる。

 
2つ目は、クラスで授業を選択する時に、必ず自分の将来の変化に対応できるようにしておくことである。原則として、可能な限り、理系科目を選択すること。

 
できるだけ理系の科目を選択することを勧める理由は何か。陳氏は4つの理由を挙げている。
 
1つ目は、理系科目や理系寄りの科目を選択することで、将来学部を選ぶ時に選択の幅が広がり融通が利くことである。なぜなら、従来の物理・化学系の科目を選択した場合は、文系の科目を選択した場合に比べて、受験の蔡の制約が大幅に少なくなるからである。

 
2つ目は、理系の募集人数がさらに増えており、理系科目を選択することで、将来の大学進学の競争率が相対的に低くなることである。大学の約6割以上の学部では、理系人材を募集する必要がある。

 
3つ目は、科目の自由選択を実施した結果、従来の理系学生が減り、実際には文系や文系寄りの学生が増え、社会科学系学部の入試競争が激しくなっている。
 
4つ目は、就職の観点から、理系科目を選択することで、将来的に就職しやすくなることである。近年の各大学の就職状況の統計を見ると、どの大学でも就職状況が最も良いのは基本的に工学系学部である。

 
2021/11/24


澎湃新闻: 2024年新高考选科变化:高校理工专业大多要求兼选物、化


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