【ニュース・中国】バイドゥの李彦宏(ロビン・リー)CEO:新しいエンジニアリング時代には、革新性、クロスオーバー、対外開放能力を備えた人材が求められる

 
10月23日、第1回「北大新工科国際フォーラム2021」において、百度(バイドゥ)の創始者で会長兼CEOの李彦宏(ロビン・リー)氏は次のように
述べた。「先を見て早めに手を打つことに新エンジニアリング学科創設の意義がある。新たなエンジニアリングのための人材育成については、講師陣
の育成に加え、学生のコアコンピタンス(他者が真似できない強みとなる能力や技術)の強化が必要だ。新たなエンジニアリング時代の人材は、革新性、クロスオーバー、対外開放能力という3つの要素
を備えていなければならない。」

 
人工知能(AI)の技術は日々複雑化しているが、その応用はますます容易になっている。これは業界が唱えるオープンソース、対外開放性という理念
に依るところが大きい。」と李氏。

 
李氏はさらにエンジニアリング的思考の重要性について強調した。氏によると、難しいことを簡単に説明することや妥協しながら少しずつ進めるといった
ことがエンジニアリング的思考であり、一足飛びに成功を求める科学的思考との大きな違い
だという。

 
李氏の具体例を交えた説明によると、自動運転の開発は科学的思考で進められており、まさに「一足飛びの成功」を目指している。
つまりL(レベル)5まで行けば規模を拡大して商業化するとしているが、L5は難易度が高すぎるため、この先何十年後であっても実現できる
とは限らない。しかし、エンジニアリング的思考で当たれば、つまり段階的に進めていけば、まずは限られたシーンでの自動運転が可能になる。
例えば、先にL2まで進め、そこから高速道路での走行と車線変更、駐車場での自動駐車などを実現し、段階的にL3、L4、L5と進めていけばよい
のだという。

 
「我々の教育には科学的思考が多く見られ、エンジニアリング的思考はあまり広がっていない」。そのため、北京大学新エンジニアリング学科では
エンジニアリング的思考ができる人材を数多く育てたい
と李氏は言う。

 
「現在は、世界規模でかつてないほど科学技術イノベーションが集中的かつ活発に起こる時期になっている。科学技術革命と産業変革が新たな
局面に入り、世界のイノベーション地図は塗り替えられようとしている。テクノロジーの実用化のスピードは人々の想像を遙かに超えている。
新エンジニアリング学科はこうした背景から設立された。」と李氏は指摘する。「最先端のテクノロジーの波は待ってはくれず、十年、二十年先
を見て手を打たなければいけない。」

 
イノベーティヴなビジネスは革新的な人材を必要としている。李氏は、将来の実用化を見据え、学校と企業が互いに働きかけ、学び合い、共に
成長することを望んでいる。百度では、2015年から7年連続で、教育部の産学連携・協働人材育成プロジェクトを支援しており、高等教育機関の
教員養成のため、教育・研究基金に累計1,000万元以上を投じているという。現在、700以上の高等教育機関で累計3,000名を超える教員が訓練
を受けるとともに、AI関連の教材の編纂にも携わっているという。

 
現在の中国は、科学に携わる者にとって最も良い時代であることは疑いようがない。我々には技術を応用できる環境が十分揃っており、世界で最も
完成した産業構造とサプライチェーン、絶えず改善される新しいインフラ、そしてリーダーとなる人材や戦略的科学者の育成ができる最良の土壌
がある。必ず中国で大規模なイノベーションの成果が湧き出る日が来るだろう。」と李氏は語った。

 
彼はまた、百度では今後5年間で、社会のために500万人のAI人材を育成することを約束した。

 
2021/10/23


澎湃新闻: 百度李彦宏:新工科时代人才必须具备创新、跨界和开放能力


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