【ニュース・中国】7年間で3度に分け14省で実現 新「高考」改革で変わった点・変わらなかった点(1)

 
2021年の「高考」がまもなく終わりを迎えようとしている。だが、「高考」をめぐる議論はいまだ終わりが見えない。

 
今年は、遼寧省、河北省、江蘇省、湖南省、湖北省、重慶市、福建省、広東省の8省(自治区・直轄市を含む。以下同様。)で新「高考」が実施
された。2014年に「試験及び学生募集制度改革の深化に関する国務院実施意見」が発表されてから、現在までに全国で計14の省が3グループに
分かれ「高考」の総合的改革に着手した。

 
「高考」は何千万世帯の家族に関係があり、「高考」改革の可否は、何千万人もの受験生の運命を左右する。本紙記者は先日、複数の専門家・研究者
に取材を敢行し、3度の「高考」改革の過程で得た成果、ならびに判明した新たな状況及び問題、さらには、改革をいかに完成形に近付けていくかに
関する分析について語ってもらった。

 
変わらないのは選択性、引き下げられたのは実施の難易度

 
どのような改革も進展の過程で次第に完成されていくものである。「高考」改革も例外ではないと専門家は指摘する。

 
本紙記者の分析の結果、政策面において3度の改革案で最も目立った変化は、試験科目が従来の「3+3」モデルから「3+1+2」モデルに変化した点だった。

 
「試験及び学生募集制度改革の深化に関する国務院実施意見」では、「高考」と高校での学習の関連性の強化が示され、受験生の総合成績は「高考」
の国語、数学、外国語の3科目の成績に「普通高校学業水平考試」3科目の成績を加えたもので判断されるようになった。総合成績に加算される
「普通高校学業水平考試」の科目は、受験する高等教育機関が指定するものと自身の得手不得手を基に、思想・政治、歴史、地理、物理、化学、生物
の中から受験生自身が選択する。

 
第1陣および第2陣の改革を試行した省では「3+3」モデルが導入されたが、第3陣では「3+1+2」モデルに変わった。「3」は「高考」の必須科目
である国語、数学、外国語を、「1」は第1選択科目(「普通高校学業水平考試」の物理、歴史から1科目を選択)を、「2」は第2選択科目(化学、
生物、思想・政治、地理の4科目から2科目を選択)を表している。

 
「『3+3』の20科目から『3+1+2』では12科目へと、高校側の教育実施の難易度は大幅に緩和されました。これにより、中西部地区や設備、教員
の資質、管理水準などを含む学校運営の基盤が弱い高校で『高考』改革が実施しやすくなったと言えます」と北京師範大学中国教育政策研究院
の王新鳳博士は言う。しかも、「3+1+2」モデルは依然として「3+3」の全体的枠組みの下にあり、学生の選択肢を増やすという「高考」改革
の理念も維持している。

 
改革措置を地方ごとに微調整することで、後続の省の改革推進の難易度をさらに引き下げることに成功した。「第2陣、第3陣の改革試行省では、
選択科目の試験回数や試験時間に調整が加わりました。」と王氏は述べる。

 
2014年に始まった「高考」改革の目標の一つが、それまでの「高考」に存在した「一発勝負で人生が決まる」弊害を打破し、選択科目や外国語等の科目
で複数の受験機会を模索
することだった。第1陣の改革試行省の中では、浙江省が比較的改革の実施を徹底しており、選択科目および外国語の試験を
年に2回にすることで、学生の受験機会を増やそうとした。

 
第1陣の改革試行が実施されると、世間では「『高考』改革は学生の選択肢を増やしたとともに、年に2回試験を行うことで学生と教師に負担を
強いている」などと言う声が上がった。

 
王氏によると、北京師範大学「高考」改革研究チームは2019年、2020年に浙江省で大規模アンケート調査およびデプスインタビューの手法で改革
の追跡評価を行った。その結果、生徒の間では、試験の「年2回」実施は肯定されていた。最大の理由は、年に2回試験を行うことで、試験成績の
偶然性を引き下げられることと、試験の回数が増えるほどチャンスも増えるというものだった。一方、高校教員の間では、試験の「年2回」実施は
あまり肯定的に捉えられていなかった。その理由は、「現行の高校教育・学習秩序を混乱させ、教員の仕事および心理面での負担を増加させた」
からだという。

 
「毎年、『高考』の安全で秩序ある実施を確保するため、社会全体で20以上の部門が駆り出され共同管理に当たっています。一方、普通高校学業
水平考試の一部選択科目の成績も『高考』の総合成績に含められるようになると、試験の性質は『高考』と同等ということになり、『高考』と同水準
の厳密性を確保した試験を別途実施することで、社会資源の浪費とコストの増加を招くことが危惧されます。」アモイ大学考試研究中心(試験研究
センター)主任の劉海峰氏は本紙記者の取材に対しこう述べた。年に何度も試験を実施することで、生徒の負担が増えるとともに、高校の正常な
教育・学習を乱すことにもつながりかねない。

 
それゆえ、第2陣・第3陣の改革試行省では、選択科目の試験は1回のみ、外国語または外国語のリスニング・スピーキングのテストのみ2回の受験を
模索するという方針に変わった。また、選択科目の試験時期についても、できるだけ「高考」期間に固定して実施するようにした。「この調整は
地方高校における教育・学習の実情と試験の規定とを十分に考慮した上で行ったものです」と王氏は言う。

 
>>>次に、つづく


澎湃新闻: 国家教材委:扎实推进习近平新时代中国特色社会主义思想进课程教材


地域 アジア・オセアニア
中国
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