中国の大学受験「高考」2021年度本科選抜が各地方で続々と終了している。今年の受験生の専攻選びを見ると、医療・衛生系は引き続き見通し
が明るく、教員養成系は大人気、「強基計画」（基礎科学分野学生募集改革試験事業）も出願者が増加している状況だ。就職を見据えた専攻選びの傾向
がますます強まるとともに、受験生個々人の興味関心や業界の将来性等が専攻選びにおいてますます重要なポイントになっていると「新華視点」の記者は総括
している。

 
傾向1：教員養成系などの専攻が大人気、卒業後の進路が明確に描けるか否かがポイント

 
2021年は教員養成系専攻が異様なほど人気だった。一部の省（自治区・直轄市を含む。以下同様。）では、部直属師範学校の教員養成専攻の足切り
ラインが急上昇し、中には合格ラインが北京大学や清華大学レベルにまで達した大学もあった。部直属ではない師範学校も平均点が軒並み上昇した。

 
華南師範大学の学生募集事務局の責任者によると、同校の教員養成専攻の今年の合格ラインは去年より上昇しており、特に英語、中国語・中国文学、
歴史学、物理学、計算機科学・技術といった伝統的な教員養成の専門で目に見えて上がっているという。

 
広東省教育考試院の関連責任者によると、「高考」の出願傾向はここ2、3年ほど、安定した職業に就けて、社会的ニーズも大きく、卒業後の進路が明確
に描ける専攻が人気で、中でも教員養成系、公安・司法系の専攻が高倍率になっているという。

 
華南師範大学の陳先哲教授は、教員養成専攻が引き続き人気なのは、日増しに厳しさを増す就職競争における学生たちの安定志向が反映された結果だと説明
する。教員養成専攻を卒業していれば、将来常勤教員のポストを得やすくなるし、さらに学問を深めるため、上の学校に進学する機会も他の専攻と
同様にある。特に、去年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、大学生の就職がかつてないほど厳しい状況に置かれたことから、受験生や保護
者らがより安定した専攻を選ぶようになっていると指摘する。

 
また、以前は多くの受験生が給与の高さに惹かれ、卒業後はIT大手や金融機関等への就職を希望していたが、ここ2、3年は IT 業界の仕事のキツさや精神的
プレッシャーなどの問題が社会的に注目を集め、受験生や保護者の志向に変化が生じているという点も多くの専門家の指摘するところである。

 
中国最大の総合教育ポータルサイト「中国教育在線」総編集長の陳志文氏は、経済の発展している地域の受験生が地元を出たがらない傾向も以前
より顕著になっており、深セン市、杭州市などの高等教育機関の合格ラインは他省の同レベルの学校と比べ軒並み高くなっていると指摘する。

 
傾向2：2年目の「強基計画」は合格者数もレベルも大幅に上昇

 
実施2年目となる「強基計画」の競争率はさらに高まっている。複数の高等教育機関に取材したところ、初年度となった去年は、定員割れ、二次試験
の棄権、合格ラインの大幅引き下げなどが生じた学校もあったが、今年は「強基計画」による合格者数が増えた。受験生の間での認知度も高まり、
受験生側もより冷静に出願を考慮したという。今年の「強基計画」は全体として去年より多くの合格者を出し、本当に基礎学科が好きな学生の出願が
増えたと専門家は分析している。

 
去年、北京大学考古学専攻は、湖南省の点数上位者が出願したことで大いに注目を集めた。北京大学学生募集事務局によると、考古学専攻は今年
も人気で、高得点者が多く出願している。四川省の2021年「強基計画」合格者数は2020年より162名増加し、増加率は97％に達した。
今年は「強基計画」を実施する36の高等教育機関が広東省から264名の学生を受け入れ、合格者数、レベルともに大幅に上昇した。

 
北京理工大学学生募集事務局主任の徐建氏によると、同校では今年、4,000人近くが「強基計画」に出願し、中でも最も人気の専攻は数学および応用
数学、応用物理学だった。山西省の招生考試管理中心（出願募集・入試管理センター）「高考」所の王躍所長は、基礎学科を学びたいという受験生
は増えており、今年度の「強基計画」合格者は去年より50％以上増加したと話す。

 
中国人民大学教授で広東省学生募集チームのリーダー王亜星氏は次のように指摘する。受験生は好きな専攻または自身に適した専攻を選ぶようにしなければならない。見栄を張るため、一般受験より低めの点数で合格できる「強基計画」を通じて有名校に入ろうなどと画策してはならない。「強基計画」は
転科ができないため、好きという気持ちがなければ、学びの成果は良好なものにならないばかりか、学ぶこと自体が嫌いになってしまう可能性がある。

 
>>>次へ、つづく

澎湃新闻：　高考本科批次录取陆续结束，考生专业选择透露哪些新动向