【ニュース・中国】有名校卒業生がタバコ工場の作業員、院卒者でも不動産販売業:就職市場は買い手市場か、それとも学歴インフレか(2)

 
北京や上海などでは、本科の学歴を持つ大卒の仲介担当者が全体の6割以上となっている。

 
こうした状況について、ネットでは「人材の無駄遣い」「ここまで勉強しておいてこんな仕事をするのはもったいない」という嘆声が多く聞かれる
ものの、「修士は金にならない」「博士号を持っていても不動産業界に行く人もいくらでもいる」という声もある。

 
ある分析によると、高等教育機関の学生募集規模の拡大、特に大学院の募集規模の拡大につれて、企業・事業所の求人要件も「高止まり」傾向にある。

 
就職競争が加熱する中、以前なら高等職業学校や高等専門学校の卒業生が主体だったポストも本科卒や院卒者が占めるようになっている。

 
人はその才能を十分発揮し、才能はその役目を十分発揮する。社会はいかに就職の多様化を見守るべきか

 
ある評論曰く、個人にとって、どんな職業を選択しようとも、それ自体は責められるべきでなく、外野は過剰な道徳的判断をすべきでない。

 
しかし、ある職業選択が世間の注目を集め、しかも明らかにこれまでの判断基準とは異なっている時、その現象は無視されてはならない。

 
このような人材市場がなぜ形成され、いかに最適化していくべきかが、深く掘り下げられなければならない。

 
「学歴インフレ」に関する論争について、21 世紀教育研究院の熊丙奇院長は、学歴インフレか否かは、高学歴人材がいわゆる「ハードルの低い」
ポストに就いた後の振舞いと貢献を分析しなければならないと話す。

 
「高学歴人材の流入により企業・事業所全体のレベルや競争力が高まるのであれば、学歴はその価値を発揮していることになる」

 
ただ、高学歴人材が入ったにもかかわらず、仕事の内容や実質に何の変化も現れず、組織に実際の進歩をもたらすことができなければ、学歴は確かに
インフレを起こしていると言えると熊氏は指摘する。

 
だが、職業選択は元々多元的なものである。「中国伝媒大学の修士が不動産販売業に」というニュースをどう見るかという質問に対し、中国教育科学
研究院研究員の儲朝暉氏は、「不動産仲介業でも専門に関連する仕事でも、個人の選択の自由だ」と語る。

 
以前メディアの注目を集めた、北京大学卒業後に豚肉販売業に就いた陸歩軒さんは、取材に対し、次のように話していた。

 
「うちの会社は大卒、院卒に豚肉を売らせる。僕らは現場から叩き上げ、会社を支える存在に急成長する。これも僕らがこの業界にもたらしたイノベーション
や変化だ」

 
専門家は、学歴や専門は個々人の求職や自己実現のための手段であり、足かせになってはならないと指摘する。高等教育が普及した現代、どの業界の
新入社員も大卒の肩書を有している。

 
高学歴人材が所属する業界のサービス水準を向上させるきっかけになるのであれば、業界にとっても個人にとっても価値あることだ。

 
熊氏は、高学歴がインフレを起こしているか否かより、高等教育機関の人材育成の質に注目すべきだと主張する。

高等教育の発展と社会・経済の発展が好循環を形成するには、人材育成の質を軸に、高い資質を持つ人材を各業界に行き渡らせてイノベーティブ
な貢献をさせる。

 
そうすることで、業界全体のアップグレードと世代交代が後押しされ、今後、大卒生に対するより多様なニーズを生むことにつながる。

 
2021/07/16
 


中国新闻网: 专家谈部分院校停招学硕:高层次学术人才培养转向以博士为主


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の就職、高技能職業人材の育成