【ニュース・中国】有名校卒業生がタバコ工場の作業員、院卒者でも不動産販売業:就職市場は買い手市場か、それとも学歴インフレか(1)

 
最近、大学生の就職をめぐる「落差」に関するニュースが少なくない。中国伝媒大学の修士課程修了生が不動産販売業に就いたり、中国人民大学
や武漢大学の卒業生がタバコ工場の作業員になったりなど、伝統的な意味での「ハードルの低い業界」に進む高学歴新卒生が増えていることで、世論は
ざわつきを抑えられずにいる。

 
一体、就職市場が買い手市場なのか、それとも本当に学歴インフレが起こっているのか。就職機会や就職の選択肢が多様化する今、大学生の社会への
「第一歩」を正しく認識するにはどうしたらよいのだろうか。

 
タバコ工場の作業員、不動産販売……有名大学卒業生の就職先に唖然?

 
今年も卒業シーズンがやってきた。

 
900万人を超える卒業生が就職市場になだれ込む、と言えば競争の熾烈さが想像できるだろう。「象牙の塔」を飛び出し、初めて社会に足を踏み
入れる若者の中には、学んだことを全く活かせない業界に就職する者が相当数いる。取り敢えず何処かに就職し、それから自分に合った仕事を
選ぶのだ。

 
一方で、異なった方向から自らのキャリアを開始する大学生は議論の対象となりがちだ。それゆえ、有名校卒業生がタバコ工場の生産ラインで働いたり、
高学歴卒業生が不動産仲介業に就職したりというニュースが毎年この時季に世間を騒がせている。

 
「95後(訳注:1995年~1999年生まれ)」の姚沁文さんは中国伝媒大学の大学院修士課程を修了した。姚さんは修士論文執筆のため、とある
不動産仲介業者で実習を行った。

 
ところが、実習を始めて3か月、この職業に魅せられてしまった。そして、何年もジャーナリズムを学んだ彼女は、大学院を修了すると毎日電動
バイクであちこち駆け回る不動産仲介業の道を歩み始めたのだった。

 
「中国伝媒大学『95後』修士卒が不動産販売業に」というニュースが検索ランキングの上位に登場するや否や、「学歴インフレ」に関する論争
が巻き起こった。

 
その熱もまだ冷めやらぬうちに、今度は「河南中煙工業有限責任公司2021年度大学生募集および採用予定者に関する公示」がネットで物議を醸した。

 
「公示」を見ると、「現場生産操作ポスト」への採用予定者に、中国人民大学、武漢大学、鄭州大学、河海大学といった優秀人材育成のための「985」「211」プロジェクト指定校の卒業生や修士課程修了生も少なからず含まれていた。

 
それゆえ、今度は「中国人民大学や武漢大学の卒業生がタバコ工場の作業員に」というニュースが検索上位に浮上し、ネットは「本当に学歴インフレ
が起こっているのか!?」
とざわついた。

 
就職市場が買い手市場なのか、それとも本当に学歴インフレが起こっているのか

 
「中国人民大学の卒業生がタバコ工場の作業員に」、「中国伝媒大学の修士が不動産販売業に」、「2か国語が堪能な修士が家政婦に」……こうしたニュースが絶えず報じられる背景には、伝統的な意味での「ハードルの低い業界」に進む高学歴新卒生が増えている現状がある。

 
タバコ工場が有名校卒業生を募集した件について、河南中煙人的資源部の関係責任者はメディアの取材に対し「弊社は人材募集に際し本科以上の学歴
という条件を課しており、有名校の卒業生や院卒者がいるのはごく普通のこと」と回答している。

 
一方、高学歴人材が不動産仲介業界に進むのは、実は今に始まったことではない。ある不動産仲介アプリは、「『双一流』高等教育機関」という
ワードを、ユーザー検索や不動産仲介担当者検索のハッシュタグにしている。

 
アプリでは不動産仲介担当者の顔写真の下に出身大学が明記されており、有名校の卒業生が少なくないことが分かる。ある仲介機構が発行している
「2021大学生不動産仲介業職業調査研究報告書」によると、大卒の不動産仲介担当者は年々増加の一途だという。過去3年で、大卒の不動産仲介担当
者は5割以上増加した。

 
次に、つづく


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地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の就職、高技能職業人材の育成