【ニュース・中国】大学生の有料実習にメディアが注目:「罠」か、それとも「近道」か?(1)

 
夏休みの到来とともに、多くの大学生は実習(インターンシップ)に入る。大学生は実習を通じて小遣い稼ぎができ、真面目に働けば、実習だけで
次の学期の学費と生活費までカバーできる――大学生の実習について、以前はこのような認識を持っていた人が多かった。

 
しかし最近は、「有料実習」「超高額実習」といったワードがネットを賑わせており、それなりの実習経験を得るために、高額の費用を支払うことすら惜し
まない大学生もいる。

 
加熱する就職戦線に煽られ、大学生は「良い」実習経験を得て、履歴書にハクをつけようと躍起になっている。だが、一体どこからが「有料実習」
なのだろうか。超高額実習は金を騙し取られる「罠」か、それとも就職の「近道」か。

 
高等教育機関の教員や学生の多くは、実習のチャンスが来ても冷静に見極める必要があると感じている。彼らはまた、実習先の費用徴収にも一定の
管理監督メカニズムを設けるべきで、高額の仲介費で実習経験を「売る」ことは受け入れがたいと考えている。

 
大学生の実習は「有料」方式に

 
ピンと張り詰めた卒業シーズンが終わり、熱気に満ちた「実習シーズン」がやって来た。教育部のデータによると、2021年の全国の普通高等教育
機関卒業者は前年比35万人増の909万人だった。また、中国青年網が先ごろ実施した調査データによると、大学生の76.29%が、就職活動において
最も大きな壁は実際の仕事経験がないこと
だと回答している。いきおい、実習は、大多数の大学生が実践経験を積み、就職戦線において頭一つ抜け出す
ための最短ルートになっている。

 
大学3年生の張瑛さんは最近ある省のテレビ局で実習をした。放送学科で学ぶ彼女にとって、この実習は専攻にマッチしたまたとない機会だった。

 
「このテレビ局は全国でもトップクラスで、私の第一志望なんです」張さんはある番組のディレクションチームに配属された。仕事は忙しく、時に
は深夜まで残業をしなければならないこともあったが、自分が関わった番組が皆の話題に上るのを見ると「疲れていても喜びを感じていました」

 
この頃、唯一張さんを困らせていたのは、テレビ局が毎月徴収する500元の実習管理費だった。「明文化されている訳ではなく、向こうも最初から
実習管理費を支払えと言ってきた訳ではありません。皆、噂でそういうものを払わなければならないと知るんです。確かにちょっとモヤッとする
ところはありますが、払えと言われたら皆、自分から払っていました。大学のクラスメートに聞いたら、そういう費用を払った人もいるし、
払っていない人もいました」

 
しかしながら、多くの大学生にとって、張さんが支払っていた毎月500元の実習管理費は「取るに足らないもの」であるようだ。先日のあるニュース
によると、大学生の有料実習市場が活況で、数万元という大金を支払ってIT「大手」での実習機会を買う学生もいるという。留学も手掛けるエージェントは、IT、投資銀行、会計事務所など大学生に人気の職場での実習を斡旋している。

 
中国青年報·中国青年網の記者が調査したところ、メディア、経済、医療といった専門で有料実習が一般化しているケースが多かった。メディア関係
では、多くの企業やテレビ局が「実習管理費」を徴収していた。医療分野では、病院に実習に行く際に一定の費用を納めることが普通だ。これらの
費用は学生自ら支払う場合もあるが、学校指定の実習先であれば、学校側が全部または一部の費用を負担する。

 
高額費用で実習経験を「買う」やり方は通用するか

 
しかしながら、専門につながる実習先がこうした「大手」だったり、投資銀行や証券会社などの有名企業だったりする場合、実習経験を積む「近道」
として「超高額実習」を選ぶケースが増えている。また、国外に留学していて、帰国して就職しようと考えている学生にとって、有料実習は中国国内
の就職市場を切り開く「足掛かり」の役割を担っている。

 
「1万9,998元で大手の内定ゲット」「金融、証券会社、日用消費財企業の実習に内部推薦」「1対1のきめ細やかなサービスで、世界トップ500有名
企業の実習に内部推薦」……淘宝(タオバオ)や小紅書(シャオホンシュ)などのオンライン EC プラットフォームでは、こうした「商品」が至る所
で見つかる。

 
多くの出店者は、自分の所の「アドバイザー」は、何社もの有名企業に従業員として在籍しており、専門指導を受けて、数千から数万元の費用を
支払えば、体面のいい企業での実習機会が得られると謳っている。

 
では、高額費用で実習経験を「買う」のは、「罠」なのだろうか、それとも「近道」なのだろうか。
劉玥さんはアメリカのとある大学で政治学を学ぶ学生だ。先日、納得行く実習先を見つけるために、2万元の仲介費用を支払った。

 
金を払ってでも実習エージェントにお願いした理由を、劉さんは「自分で探す時間も気力もないから」と言ってのける。確かに、劉さんは毎日
大量の宿題を抱える上、時差が12時間もある環境にいることから、中国国内の実習先を自分で探すのは難しい。

 
「忙しい時は両親がエージェントと連絡を取ってくれます。両親もいい実習先が見つかればそれでいいと割り切っています」仲介手数料について
は、劉さんも「高すぎる」と感じている。それでも他に方法はない。「どのみち『大手』や大企業の本社は人気で人が殺到するから」

 
次に、つづく


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地域 アジア・オセアニア
中国
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