【ニュース・中国】北京航空航天大学のチームが世界記録 羽ばたき式ドローンの1回の充電飛行時間で最長記録

 
10月20日、本紙が北京航空航天大学(以下、「北航」)から得た情報によると、先日、北航先端科学技術イノベーション研究院新コンセプト飛翔体チームが独自開発と実験を行っていた、二関節大型鳥類型羽ばたき翼式飛翔体が、羽ばたき式ドローンの1回の充電による航続時間の最長記録を1時間31分4秒98に更新し、世界記録を樹立した。

 
羽ばたき飛行(鳥類のように翼をバタバタさせる飛翔法)は生物の飛行方法で、人類は数千年にわたり、これを模索してきた。これまで、羽ばたき式飛翔体は飛行時間が比較的短く、大半の記録は30分ほどで、従来構造のその他のタイプの飛翔体に著しく劣っていた。実際上の意義もさほどないことから、羽ばたき飛行航続時間のギネス記録はこれまで欠番状態が続いていた。

 
北航先端科学技術イノベーション研究院新コンセプト飛翔体チームは、焦宗夏教授、趙龍飛副研究員をリーダーに、羽ばたき分野の研究を続けて10年近くになる。目標は羽ばたき飛行の実用性の分析と設計法で大きな進展を実現し、羽ばたき飛行の性能に本質的なブレークスルーをもたらすことだ。

 
2021年10月、チームはギネス記録挑戦の申請を行った。記録として認定するために、ギネスブックが世界に現存する人工羽ばたき式飛翔体について調査した結果、挑戦者の羽ばたき飛翔体が1時間以上飛行できれば、現存の羽ばたき飛翔体に対し航続時間の面で絶対的優位に立つことができ、実用性も開けると判断した。ギネス側は航続時間1時間を羽ばたき飛行の世界記録認定指標とし、記録の名称を「羽ばたき式ドローンの1回の充電による航続時間の最長記録」に決定した。

 
コロナ禍や飛行制限、天候の影響もあり、羽ばたき飛行に挑戦する日は最終的に2022年7月21日に決まった。記録挑戦の全プロセスに厳格なルールが定められており、挑戦を行う際は複数の第三者が証人およびタイムキーパーとして同席し、なおかつ全プロセスを複数のカメラで録画しなければならない。

 
記録挑戦の当日、羽ばたき飛翔体が無事1時間の継続飛行を達成した後も、飛翔体のバッテリーはまだ十分残量があったことから、チームは電池が尽きるまで飛行を続け、飛翔体の航続限界を探る方向に切り替えた。飛翔体は最後に無事に着陸した。

 
ギネスブック中国支部とロンドン本部の合同審査を経て、この挑戦は見事に認定され、飛翔体の航続時間世界最長記録は1時間31分04秒98と記録された。

 
北航の担当者によると、過去100年余りで航空技術は急速な発展を遂げたが、先端理論というツールや効率の良い分析手法を身につけた研究員たちは、最先端の飛翔体でも、多くの面で自然界の鳥類や昆虫などの飛行生物に遠く及ばないことに気付いた。その結果、羽ばたきの研究が近年再び脚光を浴びているという。しかし、羽ばたき飛行は、仕組みが複雑かつ制御が困難で、機械的システムに対する要求が極めて高く、人工の羽ばたき飛翔体が飛行能力を実現するには、困難が山ほどあった。

 
北航チームは独自の「羽ばたき推進波」理論を構築して、羽ばたきの順方向最適化設計という難題をクリアした。この理論は『AIAA Journal』など航空宇宙分野のトップ学術誌に何度も発表され、羽ばたき飛翔体の研究において先導的役割を果たした。チームはこの理論を基に、翼長20cmから2mまでの羽ばたき飛翔体モデル機の開発と飛行実験を行った。

 
今回航続時間の記録申請を行った二関節大型鳥類型羽ばたき式飛翔体は、理論上の飛行効率が大半の固定翼機を上回り、2021年初頭に航続時間の初期テストを行ったところ、実際上の飛行時間が53分に達した。動力システムと翼動力学をさらに最適化・調整したことにより、チームは羽ばたき飛翔体の性能をさらに飛躍的に向上させ、今回の記録に挑戦するに至る最高の状態を整えた。

 
羽ばたき飛翔体の研究を進める中、北航チームの教員は学生の積極性と創造性を十分に引き出した。飛翔体研究チームの学生は大学院博士課程・修士課程在籍者と学部生計12名からなり、多くの修士・博士の研究課題を牽引した。学部生の創造性溢れる中間成果も科学技術コンテストでいくつも賞を獲得している。

 
2022/10/20


澎湃新闻: 北航团队创世界纪录:扑翼式无人机单次充电飞行时间最长


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
顕彰 顕彰