【ニュース・中国】「最も多難な年」の卒業生進路決定率は? 清華大学等は公表済み

 
2023年元旦に相前後して、清華大学をはじめとする高等教育機関が2022年卒業生の就職に関する報告書を公表した。「史上最も多難な年」の卒業生の進路決定率はどうだったか見てみよう。
清華大学学生キャリア開発指導センターは2022年12月31日、「清華大学2022年卒業生の就業の質に関する報告書」を公表した。この報告書によれば、2022年、グローバル経済の下押し圧力の強まりと新型コロナウィルスの感染拡大による厳しく複雑な情勢の下、同大学の卒業生進路決定率は98.0%と安定を保ち、8割を超える卒業生が主要企業に就職したり起業したりした。卒業生の就業地域分布は全体として合理的で、就業の質は比較的高いと言える。

 
清華大学の上記の報告書によれば、同大学の2022年の卒業生は計8,003人で、例年よりやや増加した。このうち、学部生は3,197人(39.9%)、大学院修士課程は2,657人(33.2%)、同博士課程は2,149人(26.9%)、男子学生が5,135人(64.2%)、女子学生が2,868人(35.8%)と男女比は1.8:1だった。
2022年10月31日時点で、清華大学の2022年卒業生進路決定率は98.0%だった。このうち、中国国内での進学は28.3%、海外留学は7.1%、三者協議就業(訳注:卒業生、学校、使用者が三者協議書を締結して就職すること。新卒正規採用とほぼ同義。)の割合は52.5%、「霊活就業(訳注:いわゆるフレキシブルワーク。個人事業主、臨時雇い、パートタイム労働者等の柔軟な就業形態を指す。)」の割合は10.1%だった。

 
中国政法大学も最近「2021-22年学部教育の質に関する報告書」を公表した。同大学の2022年の卒業生は4,491人で、このうち学部生は2,088人、大学院生は2,403人だった。2022年8月31日時点で、進路が決定した卒業生は4,222人、卒業生進路決定率は94.01%(学部生89.66%、大学院生97.79%)だった。
中国政法大学の2022年学部卒業生2,088人のうち、進路が決定した卒業生は1,872人、進路決定率は89.66%だった。うち進学は1,547人で、進路が決定した卒業生全体の82.64%(うち中国国内での進学は790人で、進路が決定した卒業生全体の42.2%、海外留学は113人で、同6.03%)、契約(就業契約および労働契約)就業者は163人で、進路が決定した卒業生全体の8.7%、その他の形式の就業は162人で、同8.65%だった。

 
南京大学が先ごろ公表した「2021-22年学部教育の質に関する報告書」によれば、2022年の学部生の卒業率は93.17%、学位授与率は92.99%だった。現在のところ、卒業生の進路決定率は94.71%、海外留学率は11.9%、中国国内進学率は52.72%となっている。このうち、東部地域で就職した学生は82.47%に当たる748人、中部地域では6.17%で56人、西部地域は11.36%で103人だった。中でも江蘇省、広東省、上海市、浙江省、北京市での就職が最も多く、それぞれ437人(48.18%)、91人(10.03%)、88人(9.7%)、45人(4.96%)、44人(4.85%)となった。上記の5省・市に就職した割合は、合計で全体の77.73%を占めるに至っている。

 
合肥工業大学は2023年1月4日に「2022年卒業生就業の質に関する報告書」を公表した。報告書によれば、2022年の同大学の卒業生は合計1万1,181人で、このうち大学院博士課程は166人、大学院修士課程は3,108人、学部は7,907人となっている。卒業生進路決定率は96.9%、学部生の同決定率は96.32%に上る。
北京電影学院は2022年12月15日に「2021~22年学部教育の質に関する報告書」を公表した。報告書によれば、同学院の2022年の学部卒業予定者520人のうち、実際に卒業した人数は476人、卒業率は91.54%、学位授与率は99.16%だった。2022年8月31日時点の学部卒業生全体の就業率は89.08%。卒業後の進路のうち最も多かったのは「その他」で62.5%を占めた。進学した割合は23.53%で112人、このうち海外留学が全体の11.08%を占める47人だった。

 
現在のところ、北京電影学院の2022年学部卒業生のうち就業を選択した割合は92.25%にまで増加しているが、コロナ禍の影響や「様子見」の卒業生が一定数いる関係で、就職率は昨年に比べ5%減少した。就職した卒業生のうち、後に進学に転じた割合は15.48%、契約就業は15.36%、「霊活就業」は56.55%に上っている。就業地域を見ると、66.89%の卒業生が北京市内での就業を選択している。業界で見ると、45.4%が文化・スポーツ・エンターテイメント業界に就業している。業種別では、41.91%が文化・芸術関連の仕事に就いている。

 
北京電影学院は報告書で次のように指摘している。総合的に見ると、北京電影学院の卒業生の主な就職先は、依然としてテレビ・映画業界であり、業界の集中する北京地域が今なお最多の就業地域である。しかしながら、2023年の学部卒業生数はやや増加すること、加えてコロナ禍や、テレビ・映画業界の景気、社会・経済の成長鈍化などの要因もあり、北京電影学院の卒業生は来年度も引き続き厳しく複雑な就業事情に直面せざるを得ない。

 
内蒙古大学が公表した「2021~22年学部教育の質に関する報告書」によれば、同大学の2022年学部卒業生の一次進路決定率は74.2%、このうち大学院進学は1,054人(海外留学45人を含む)で、卒業生全体の31.15%を占めた。政府機関や公的機関への就職は239人で同7.06%、各種現場プロジェクトへの就業は67人で同1.98%、企業への就職は700人で同20.68%、軍隊への入隊は9人で同0.27%、「霊活就業」は317人で同9.37%、起業は3人で同0.06%だった。

 
長春大学が最近公表した「2021~22年学部教育の質に関する報告書」によれば、同大学の2022年の大学院生の就職率は81.2%、学部生の就職率は81.7%だったが、短大生の就職率は98.1%と、好成績を収めた。2022年は同大学から404人が大学院修士課程に進学した。中国国内の教育機関への進学者は307人で、このうち61人が「211」や「985」プロジェクト対象の名門校に、97人が海外の教育機関に進学した。造園、材料科学・材料工学、機械工学の各専攻の大学院生の割合はそれぞれ39.53%、39.22%、39%だった。

 
他にも、一部の省(自治区・直轄市)が2022年卒業生の就業状況を公表した。
例えば、2022年12月27日、広西チワン族自治区教育庁が公表した「広西2022年普通高等教育機関卒業生の就業の質に関する年度報告書」によれば、2022年の同自治区の普通高等教育機関の卒業生は38万3,000人で、昨年より8万2,100人増加した。同報告書によれば、2022年の臨床医学専攻の卒業生は引く手あまたで、卒業生の進路決定率は100%を記録した。同自治区では6割を超える高等教育機関卒業生が自治区内での就職を選択した。このほか、5万8,200人が中国国内の教育機関でより高い学歴を得るための進学を選択し、その数は就業を選んだ卒業生の18.88%に相当する。

 
湖南省の新聞『三湘都市報』が公表したデータによれば、2022年の同省の普通高等教育機関卒業生は合計47万9,900人と、増加数・増加率ともに過去最高を記録した。卒業後の進路が既に決定している卒業生は42万2,400人、卒業生進路決定率は前年とほぼ同水準の88.04%で、10年連続全国平均を上回り、全国1位の座に君臨している。学部では、卒業生19万6,600人のうち、卒業後の進路が決定している者は16万9,100人、卒業生進路決定率は85.99%だった。高等職業専科では、卒業生25万6,300人のうち、卒業後の進路が決定している者は22万8,700人、卒業生進路決定率は89.23%だった。大学院では、修了生2万7,000人のうち、修了後の進路が決定している者は2万4,700人、卒業生進路決定率は91.63%だった。

 
李克強国務院総理は2022年3月11日、中国内外の記者の質問に答える形で、中国で職を求める都市部の新規労働力は2022年に最近では最も多い約1,600万人に達し、このうち、高等教育機関卒業生が1,076万人と過去最高を記録したと述べた。教育部は2021年の卒業生から、「就業率」を「卒業生進路決定率」に改め、計算には契約就業率、起業率、「霊活就業」率、進学率を含めることとした。この変更により、卒業生の「進路」状況がより正確に反映されるようになった。

 
2023/1/4


澎湃新闻: “最难毕业季”毕业生去向落实率如何?清华等高校已公布数据

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