【ニュース・中国】2023年度大学院入試が今日実施:出願傾向は?受験生の特徴は?

 
12月24日、2023年度大学院入試が予定通り実施された。この原稿が校了した時点では、教育部はまだ今回の出願状況を正式発表していない。12月23日には「中国教育在線」が「2023年度大学院生募集調査報告書」(以下、『報告書』)を発表した。そこで今回はこれを基に、大学院入試の出願状況に見られる新傾向や受験生の分布特性について見ていく。

 
出願者数の増加率は大幅に下落、出願も冷静に

 
『報告書』によれば、2023年度の全国大学院入試出願者数は引き続き緩やかな増加傾向を示しているが、2022年度の増加率21%と比べると、大幅な低下が予想され、出願は冷静さを取り戻しつつある。
一方、中国の大学院生の募集人数は引き続き拡大している。2011年度には全体で56万人だったのが、2021年度には120万人近くになり、10年で大学院生の募集人数は倍に増えた。合格者数は一定の割合を保っているものの、専攻間の格差が顕在化し、人文社会系の合格者数が理工系の合格者数を大きく上回り、競争が激化している。

 
四川省や陝西省など、一部の省や直轄市の出願者数は明らかに増加率が鈍化しており、東北地方では軒並み低下した。逆に広西チワン族自治区など、高等教育が相対的に盛んでない省では大幅な伸びが見られた。
「大学院受験ブーム」がヒートアップを続ける中、「双非」大学(訳注:「双一流」に該当しない大学)の人気が高まり、出願者数が急速に増加している。「格下受験」が多くの受験生にとって堅実な選択肢になっているようだ。

 
名門大の出願増加率は停滞、「双非」大の吸引力は増大

 
大学院受験ブームに伴い、高等教育機関の総出願者数も年々増加傾向にある。ただ、機関によっては必ずしもそうとは限らないようだ。全体的に見て、一流大の出願増加率は鈍化傾向にあり、「双非」大が新勢力となっている。
例えば、2023年度の雲南民族大学大学院修士課程の出願者数は9,486人で、2022年度より3,385人増加している。
2023年度の江西農業大学大学院修士課程の出願者数は初めて5,000人の大台を突破して、2022年度より1,441人多い5,087人に達し、増加率は39.52%を記録した。
ここ数年、江西農業大学大学院修士課程の出願者数は猛烈な勢いで増加しており、出願者数は2018年度の1,029人から2023年度の5,087人まで、年平均65%近くの増加に達している。

 
大学院の研究課程の募集枠は縮小、専門職学位課程が主流に

 
教育部発行の「大学院専門職学位課程教育発展計画(2020~2025)」によれば、大学院専門職学位課程の募集人数を、2025年度までに大学院全体の募集人数の3分の2程度にまで拡大し、将来的に大学院受験の主流としていきたい考えだ。
専門職学位課程の拡大とともに、一部の高等教育機関では、一般課程(研究課程)の規模縮小を進めている。先頃、復旦大学、北京大学、西南大学、四川大学など複数の「双一流」高等教育機関が、一部専攻における研究課程の募集停止を発表した。2022年5月、中国科技大学の大学院生募集サイトには、2023年度以降、法学科および情報コミュニケーション学科で研究課程の募集を停止する旨が告知された。
一部高等教育機関の2023年度大学院修士課程出願状況から判断すると、専門職学位課程の出願率は研究課程よりおしなべて高い。

 
募集人数は全体として増加傾向、一部学校は増加幅が大きい

 
『報告書』によれば、全体として、多くの高等教育機関で大学院修士課程の募集人数は拡大を続けており、一部の学校では増加幅が大きくなっている。2022年度全国大学院修士課程募集計画と比較してみると、2023年度は「双一流」高等教育機関の募集計画でいずれも明らかな増加が見られる。このうち、西安交通大学は2023年度に大学院修士課程で7,500人を募集する計画で、2022年度より500人増えている。

 
大学院教育のタイプは絶えず最適化、専門職学位の割合は引き続き増加

 
関連政策の後押しもあり、大学院修士課程の募集人数全体に占める専門職学位課程の割合は増加が著しい。専門職学位課程の募集人数は2017年度に40万人を突破し、初めて一般課程と逆転した。2020年度には専門職学位課程の募集人数が60万人を超え、一般課程との差は次第に開いていった。
過去10年の大学院修士課程の募集において、専門職学位課程の割合は年々増加し、2020年にはその割合が60%を超えた。
現在、大学院教育の構造および類型は最適化が進み、専門職学位教育の発展に重点が置かれている。教育部が最近出した「大学院専門職学位課程教育発展計画(2020~2025)」に関する通知には、学位授与機関が人材育成構造の最適化を進めること、および大学院修士課程募集計画の増加分は主として専門職学位に適用することを奨励する旨が記されている。専門職学位課程の種類が豊富になり、人材の選抜方式の整備が図られるにつれ、専門職学位課程への出願も増え続けている。

 
募集人数最多は工学科、次点が管理学科

 
この10年、中国の大学院教育は、「4つの正対(訳注:世界の科学技術の最前線、経済の主戦場、国の重要ニーズ、人民の命の健康の4つに向き合うこと)」に緊密に呼応すべく計画され、学科・専攻の構造の最適化および人材育成構造の整備を進め、重点学科や分野が絶えず強化されてきた。教育部が発表した公式データによれば、理工農医系一級学科の博士課程は2012年度の1,944か所から2,575か所に増えた。「双一流」建設においても、理工農医系学科の割合は78.5%に上っている。
近年の大学院各専攻課程の募集状況を見ると、募集人数が最も多いのは工学、次いて管理学となっている。トップ5は順に医学、理学、教育学と続く。
2020年度の大学院修士課程募集人数は、前年比20.73%増だった。学科別の増加率を見ると、増加率が最も高いのは農学で31.85%、その次が医学で29%となっていた。
大学院修士課程の募集においては、理工農医系のいずれも、過去3年間右肩上がりとなっている。

 
2022/12/24


澎湃新闻: 2023研考今举行:报名呈现哪些新态势?考生结构有哪些特点?

地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 質の保証
人材育成 入試・学生募集
統計、データ 統計・データ