【ニュース・中国】一部高等教育機関が学部・修士課程の募集を停止 ハイレベル学術人材育成は博士メインに(1)

 
最近、「2022年以降に復旦大学経済学院が学術学位修士課程の学生募集を停止する」というニュースが注目を集めるとともに、学術修士は「必要ない」
のか、さらに人材育成・就職における専門職修士と学術修士の違いなどに関する議論が巻き起こっている。

 
「中国教育在線」編集長の陳志文氏は本紙の取材に対し、一部高等教育機関の学院(学部)や専攻課程が学術修士課程の学生募集を停止する動きは
中国の人材育成戦略の調整と関連があるとし、これは高等教育が拡大した結果であるとともに、一部の有名高等教育機関が差別化を図った結果でも
あると指摘した。

 
昨年開かれた全国大学院生教育会議では、ハイレベル応用型専門人材に対する需要が拡大していることを受け、今後は大学院修士課程学生を研究型人材では
なく、ハイレベル応用型人材と位置づけ、研究型学術人材は主として博士課程で育成
するというメッセージが発せられていた。

 
目下のところ、専門職修士が就職面で学術修士と同等の機会や待遇を得られていない問題について、陳氏は、主管部門が積極的に介入し、雇用主に
対して「教育形式の異なる大学院生に対し平等に就職、戸籍登録機会を与えなければならない」という政策要求の履行を求めるべきだと述べた。

 
既に名門校の多くで、学院や専攻課程の学術修士募集を停止し、代わりに専門職修士を募集する動きは拡大しており、復旦大学では経済学院以外にも、
復旦軟件(ソフトウェア)学院も昨年7月に2021年以降、学術修士の募集を行わない旨を発表している。

 
本紙が確認したところによると、中国国内では既に多くの高等教育機関の一部の学院・専攻課程で、大学院生の募集・育成計画の調整を行い、
学術修士の募集が停止されていることが判明した。

 
昨年7月、中国人民大学新聞学院は、同学院の新聞・伝播(コミュニケーション)専門職修士課程の学生を、学び方に応じて全日制と非全日制の
2種類に分けること、また、2021年度の全日制入学生は推薦のみ募集し、一般入試では非全日制就職コースのみ募集することを発表した。

 
同じく昨年7月、西南大学経済管理学院も「2021年度以降における政治経済学専攻学術型修士生の募集停止に関する公告」を発表し、同大の第4期
学位評定委員会第4回全体会議における審議の結果、政治経済学二級学科(日本の「専攻」レベルに相当)の修士号授与を廃止するとした。

 
昨年6月には、北京大学国家発展研究院も、2021年度から学術修士の募集を停止し、博士課程学生の募集枠を拡大すると発表した。その他、四川大学
公共管理学院応用心理学専攻の修士課程は、2019年は学術修士10名の募集であったのが、2020年には専門職修士15名の募集に変更された。

 
武漢大学の2018年修士学生募集専攻目録には、「(専攻コード)120201会計学」全日制学術修士、「125300会計」非全日制専門職修士とあるが、
2021年の修士学生募集専攻目録では、会計専攻の募集は非全日制100名(推薦は含まず)となっていた。

 
かなり以前の話になるが、2014年に北京大学経済学院が「全日制学術型修士生の募集を停止し、金融、保険、税務、国際商務の4専攻の専門職学位生
の募集に変更する」と発表した。同学院では、学術型人材の育成は博士課程学生で行うと位置づけている。


澎湃新闻: 专家谈部分院校停招学硕:高层次学术人才培养转向以博士为主


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事、政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 入試・学生募集