【ニュース・中国】熊思東人民代表大会代表・蘇州大学学長が語る、オンライン教育は高等教育の新形態であるべき

 
 オンライン会議・緊急時の人材管理・配偶者出産時の男性の産休――5月18日、全国人民代表大会代表の熊思東蘇州大学学長はマスコミに向かい、全人代に提出を予定している6項目の提案について発表した。

 
 熊代表は調査や意見交換を重ねて、これらの提案を作り上げた。熊代表は、今年の提案は主に教育と医療衛生分野に集中するもので、現在の感染症拡大の防止と抑え込みの常態化と「ポストコロナ期」に直面する課題と合わせて提出するものだと語った。

 
 新型コロナウィルスによる肺炎の拡大期には、学校はオンライン授業を開設していた。熊代表は、オンライン教育は教育の空間とカリキュラムのキャパシティを広げ、教育改革を迫る一つの契機になったと考えている。熊代表は、AIとITによって高等教育の形態を再構築することを提案している。

 
 「クラウドを利用した教育とオンライン教育をその場しのぎの措置としてはならず、これを高等教育の1つの新たな形態にしていきます。これは大学の発展の内在的なニーズであるだけではなく、世界の高等教育の新たな流れでもあるのです。グランドデザインを行い、クラウド大学とオンラインコースの品質管理、評価体系を構築し、高等教育ガバナンスの新メカニズムを探ることを提案します」。

 
 熊代表によると、コロナウィルスによる肺炎の感染拡大は、中国の危機管理人材の育成不足の現状をさらけ出した。多くの大学が危機管理の専攻コースを設置しているが、それは公共事業管理・消防・安全性工学などの学科の下に置かれ、一つの独立した学科になっていないと考えている。実際、今年の2月、武漢理工大学が設置を認められるまで中国には危機管理本科コースは存在しなかった。

 
 熊代表は危機管理人材の育成強化を提案している。「私たちは修士・博士課程、特に大学と大学院が一体化した育成によって専攻の設定を加速し、教育制度と教授方法を刷新し、応用がきく危機管理の人材を育成したいと願っています。育成モデルでは、『緊急時対応+法医学』『法学+医学』など複数の学科がクロスオーバーしたり、融合したりする方法を採用し、多角的な人材を育成できたらと考えています」

 
 「ウィルスに国境はない。危機管理専門の人材は国際的な広い視野をもち、国際法を理解して、国際的なルールと各国の風俗・習慣を理解する必要があります」と熊代表は言う。

 
 免疫学の専門家として、熊代表は感染拡大の勢いに常に注目している。彼は調査を徹底し、感染拡大の防止についての意見と提案を随時提出してきた。中国国務院所属の部や委員会の要請を受け、熊代表は新型コロナウィルスの緊急専門研究難関突破プロジェクトの立ち上げと評価作業に関わり、新型コロナウィルスのワクチン研究や臨床技術のルール制定に積極的に尽力した。熊代表は蘇州大学研究チームを率いて新型コロナウィルスの検証・医薬品の研究開発・消毒殺菌などの面で技術的な対策を行ってきたが、消毒ロボットなど付随する成果は感染防止の最前線で活用されている。また、熊代表は、全人代で「新型コロナウィルス感染による肺炎拡大が与えた大学教育に対する影響についての政策の研究に関する提案」「感染地域の人への一斉検査を徹底することに関する提案」など代表として2つの提案を直ちに提出した。

 
 「感染地域の人への一斉検査を徹底することは、私たちがコロナ感染拡大を防止する戦いのための重要な保障となり、一部の地域における検査方式の速やかな改善が待たれます」

 
 熊代表は、各地域が感染予防を強化するにあたっては科学的な方式や方法をとり、漏れや死角がないこと、情報の正確さを確実にして数と状況を明確にすることを徹底し、措置が万遍なく行き渡るようにしなければならないと提案した。熊代表はまた、全面的で徹底した一斉検査の実施と正確な感染防止、カテゴリー別の管理を行い、湖北省在籍の人を重点的に検査するほか、湖北省に一時的に滞在する人たちにも重点的に感染防止対策を取り、消毒や防護、衛生管理を行う上で、各関連機関は横の繋がりを強化して、厳格に規則に則った検査やスクリーニングを行う必要があると述べた。また、感染地域の人への検査、正確な位置の把握においてビッグデータやクラウドコンピューティングを積極的に活用すること、ビッグデータのプラットフォームを使って分析や割り出しを行い、データの収集とデータの比較に力を入れて、重点的に注意すべき人の情報を精査し感染拡大防止作業に「インテリジェンスサポート」を提供することを提案した。

 
 全人代代表として、熊氏は全力で責務にあたっている。昨年、熊代表が全人代で提出した7項目の提案は全て採用され、プラスの評価を得ている。

 
 さらに熊代表は2.5日の連続休暇を実施することで「オフピークによるフレキシブル休暇」を推進し、人々が自主的に休暇のタイミングを選択できるようにすることを打ち出した。現在多くの省で2.5日の連続休暇が始まっているか計画されている。また、熊代表は、人を対象とするバイオメディカルの研究に科学倫理を強化することを提案し、国家科学技術倫理委員会を組成した。昨年7月、中央全面深化改革委員会は「国家科学技術倫理委員会の組成方法」を審議して通過させた。関連制度の基準を整備し、ガバナンスのメカニズムを健全化し、倫理の監督を強化し、さらに各種科学研究の活動を適正化して、関連する法律・法規を細分化することを求めた。彼が提出した長江デルタ一体化発展国家戦略教育先行推進の提案は全人代常務委員会で重点実施管理対象とされた。

 
 「政府は全人代代表による提案と議案、中国人民政治協商会議委員による提案は全て重視しており、それらは速やかに実行に移されます。委員の責務履行と政治への参加を大いに後押ししてくれているのです」と熊代表は語った。

 
2020年5月22日
 


中国青年報: 人大代表苏州大学校长熊思东: 线上教育应是高等教育新形态

地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育