【ニュース・中国】日米中韓の比較研究結果、大学進学希望者の割合、中国の高校生が最高(6)

 
オンライン学習者のために有益で良質なカリキュラムを

 
 オンライン学習が備えるべき条件とはどんなものか。報告書によると、オンライン学習を利用する中国の高校生がオンライン学習に期待する上位5項目は、良質なカリキュラム(69.1%)・利用方法の指導(58.1%)・集中できる環境(55.7%)・個々に合わせた学習内容(55.2%)・内容豊富なカリキュラムの提供(54.6%)だった。他の3か国と比較すると、中国の高校生が複数選択した項目の選択率はどれも高かった。このことは、中国の高校生がオンライン学習に対し積極的に期待しているが、同時に中国のオンライン教育にはまだ足りない点が存在していることも示唆している。

 
 従来型の教室での学習とは異なり、オンライン学習は時間的・空間的制限から開放されるが、同時に学生に学習上の克服課題をもたらしてもいる。報告書によると、オンライン学習を利用する4か国の高校生は、オンライン学習に対していずれも似通った不安を抱えている。視力の低下・ネット依存・自分で問題を解く努力をしない、の3項目が各国のトップ5に入っている。

 
 オンラインカリキュラムに対する理解と把握について比較してみると、常に「オンライン学習のカリキュラム内容を理解し把握できる」と答えた中国の高校生は34.9%で第3位、日本(50.9%)とアメリカ(41.1%)を下回ることが分かった。研究では、オンラインカリキュラムが理解・把握しやすいかどうかという問題は、カリキュラム設計とプラットフォーム設計の良否によるか、高校生自身のオンライン学習ポリシーによる、としている。

 
 カリキュラムの質について研究では、オンライン学習者に有用で良質なカリキュラムを提供するため、青少年の学習動機・学習力・学習スタイル・学習評価要素などに対する研究を行うこと、そして何事も柔軟に受け入れるという青少年の特徴を考慮し、多くの学科が協力してそれぞれのセグメントに合致する良質なカリキュラム体系を構築する必要があると指摘している。研究では他にも、オンラインカリキュラム資源を統合することで、青少年に優れたオンライン学習資源を共有させ既存のカリキュラム資源の役割を最大限発揮させることにも留意しなければならない、としている。

 
 学習の差別化について、オンライン学習プラットフォームの中には「アルゴリズム」技術を用いて、差別化された学習コンテンツをリアルタイムで送信してくるところもある。これにより、オンライン学習資源の同質化という問題は解決されるが、そのことで青少年は情報に縛られる傾向が出てきてしまった。教育関係者・IT技術の専門家・青少年の保護者ら多方面の関係者が連携して個性的なサービスを提供し、情報に縛られることを打ち破り、青少年のために差別化学習のルートとコンテンツを作っていく必要がある。
 
 ビッグデータを応用した学習プラットフォームは青少年に柔軟な学習環境と膨大な量の学習資源を提供するが、青少年にはまだ保護者や教師の支え、友達との助け合いなどが必要である。いかにしてオンライン学習を支える各者をプラットフォームの技術によってこの体系に組み入れるか、いかにして政策・資金・教師陣・技術・人材など多方面の力を統合するか、いかにして自主開発と共有を融合させるか、いかにして人材・資源・活動・評価などの面から系統的な支援を行うか、これらは今後さらに検討していかなければならない課題である。
 

中国青年報 2020年5月14日

 

続き(7): 4か国高校生のオンライン学習行為の比較結果、中国の学生が最も集中力が高い


thepaper: 中美日韩对比研究显示:中国高中生打算上大学的比例最高

地域 アジア・オセアニア
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