【ニュース・中国】教育部:本科教育を全力指導!専門家:根源の改革が先

『教育部:今後半数の学生が卒業証書を受け取れない可能性も』と題する記事がこのほどWeChatのモーメンツ(朋友圈)で発表された。
中国科学報の記者が事実を確認したところ、これは教育部が2018年8月27日に発表した『しっかりとした新時代の全国高等学校(=大学)の学部教育の業務会議における精神の実行に関する通知』に関する誤解釈によるものであることが分かった。

 

通知の中で最も重要な部分とされるのは、第三部分の「教育教学の秩序の全面的整備、学部教育の授業の過程の管理の厳格化」である。

 

通知では、教室での授業の管理と学習過程の管理を強化すること、卒業論文(設計)の質を適切に向上させること、教員の授業への主体的責任を強化すること、を強調している。
誤解釈された可能性があるという部分は、「清考」制度の廃止や「水課」の淘汰、そして「金課(レベルの高い授業)」の形成、卒業論文の剽窃、偽造、改ざん、代理執筆、売買などの規律違反問題に対する厳正な処置を含む幾つかの具体的措置の箇所とみられる。

このうちの「清考」制度とは、学校が不合格学生のために設ける最後の追試の機会のことで、「清考」に合格すれば卒業証書を受け取ることができる。事前に十分な資料を提供したり、試験監督を緩くしたりして、何とか学生を合格させようとする教員もいるという。
水課」とは、学生が受けたくないと思っている授業を指す。学生の間で流行っている言葉だ。いわゆる「水課」は主に一部の学校の共通科目で、学生の多くは専攻と関係なく役立つ内容が少ないため、何の価値もないと感じているようである。
本科卒業論文(=学士論文)も今回の通知において全力で指導するよう求められている。教員によると、剽窃が最もよく見られる現象だという。

いずれにしても、各措置における「全力での指導」の責任は最終的に大学教員の肩にかかってくる。取材に対し教員は、厳しくしたくないわけではなく、その気力がないのだと、苦しい心のうちを明かした。

 

四川大学の某教授は、「論文、職名、『ブランド』志向の審査制度により、大学教員の多くが、技術を生産力に換えるという科学研究を行うことを全くしなくなっており、授業に至ってはなおさらだ。」と言い、続けて「レベルで教員の待遇には雲泥の差が生じ、特に国家の各種 “人材計画” に選ばれた教員に関しては、職名が上がるだけでなく給料も数倍に跳ね上がるのを見てきた。」という。

 

中国地質大学地球科学・資源学院の龚(キョウ)慶傑教授は『中国科学報』の記者に対し、自身の学生生活を振り返り、「28年前、私は中国地質大学で学んでいたとき、教員は仕事に全力で打ち込んでおり、学生との接触も多く、教員兼友達という二重の関係のようだった。」と語った。一方、現在の大学教員にはそれができない。

 

大学で教鞭についたばかりの若手教員、王辰さん(仮名)は、授業に真剣に打ち込み、学生にも厳しく指導したいと思っているが、煩雑な授業と科学研究の任務を前に、授業の質を維持するのが難しいと感じているという。
王辰さんは『中国科学報』の記者に対し、「教授らは毎日のように出張で出かけていて会うことがなく、学部学生を育てるなんて話にもならない」(つまり、条件が違い過ぎて問題にすらならない!と半ばあきれた感じ。)その結果、私たちのような若い教員が命をかけて授業しなければならない。さらに准教授に選ばれたいと願おうものなら、プロジェクトと論文にも必死で取り組まなければならない。」と述べた。

 

終わりのない授業をこなしながら、厳しい審査の科学研究で成績を上げる、王辰さんのような若手教員は授業に関する要求を下げざるをえなくなり、こうして「水課」が生まれ、剽窃も見過ごされ、「清考」によって学生を卒業させるほかなくなっているのである。

 

このような状況から、大学教員は、学部の授業の質を向上させるには、大学教員の制度を改革することから始めるべきだ、と考えている。
授業に地道に打ち込む教員は、現在の審査制度では「骨折り損のくたびれ儲け」となるだけで、このままいけば、授業をする原動力を失うことにもなりかねない。

 

2018年9月18日

 

科学網:教育部:狠抓本科教育!专家:更应从源头抓起

地域 アジア・オセアニア
中国
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