【ニュース・中国】教育部、文書で「高考移民」の根絶と学生募集の秩序維持を要求(1)

 

教育部は先ごろ、2021年の普通高等教育機関における学生募集業務の段取りを指示する「2021年普通高等教育機関学生募集業務の遂行に関する
通知」を印刷配布し、中国の大学受験「高考」の出願資格審査をさらに強化し、受験生の戸籍・学籍と実際の通学状況を厳格に審査し、効果的な措置を
講じて「高考移民」を一掃・根絶し、高考における学生募集の秩序を適切に維持しなければならないと強調した。

 
本紙記者の取材に応じた専門家は、「高考移民」問題は大勢の利益に関わり、高考の公平性を破壊するものであるとし、近年ようやく注目され、取締り
も行われているものの、未だ根本的解決には至っていないと述べた。

 
この専門家は、「高考移民」を取り締まるためには、試験に関する特別法の制定が必要であるとし、また、法による国家統治と法による教育ガバナンス
の理念に真に符合させるべく、厳格な監督制度を実行することを提案している。

 
 
日和見主義受験は「高考」の公平性を破壊
 
「いい大学に入るためじゃなかったら、こんなことする人はいない。」
 
先日、本紙記者は北京市朝陽区にあるカフェで女性に会って話を聞いた。彼女は今年26歳。自身の経歴を振り返り、驚いたように言った。
「私も『高考移民』の1人だったとは。」

 
彼女の元々の戸籍は河北省廊坊市にあった河北省は「高考」激戦区。だ。河北省教育考試院によれば、彼女が「高考」を受験した2013年の河北省の
受験生数は全体で44万9,800人。一方、天津市教育招生考試院(入試学生募集院)によれば、同年の天津市の「高考」出願者数はわずか6万2,400人
だった。

 
この受験生数の違いに目をつけた彼女の両親は、天津で「高考」を受験させることに決め、彼女の戸籍を天津に移せるよう、早々に天津に不動産を購入した。
2010年に天津市武清区のある私立高校に合格した彼女は、同校で高校生活をスタートさせたが、両親は引き続き河北省にとどまって仕事をし、
生活していた。

 
彼女は3年後、北京のある有名高等教育機関に合格した。高校のクラスで「外地人」は彼女だけではなかった。クラスメートには、河北省、河南省、
山東省、山西省、福建省、四川省など
の生徒もいたという。

 
中国青年報社会調査中心が2013年に行った世論調査では、91.2%が周りに「高考移民」がいる、92.7%が周りに「高考移民」を計画中の保護者がいる
と回答している。

 
「『高考移民』は高考の公平性を破壊する行為だ。」中国人民大学教育学院教授の程方平氏は本紙記者の取材に対し、受験生が競争率の高い省
(自治区・直轄市)では合格できないと懸念し、競争率が低く、または政策により優遇がある省に戸籍を移すこの行為を「日和見主義」という
言葉で形容した。

 
氏によれば、「高考移民」現象は、受験生、保護者、学校、地方の教育主管部門など、多方面の利益に関係し、また、国の戸籍制度にも関わってくる
ため、「これらの利益が複雑に絡み合い、根治の難しい問題になっている」

 
2021/03/07 
 


澎湃新闻: 教育部印发文件,要求标本兼治“高考移民”维护招生秩序


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 政府レベルでの取組
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人材育成 入試・学生募集