【ニュース・中国】教育部、文書で「高考移民」の根絶と学生募集の秩序維持を要求(2)

 
各地で続々と対応措置を打ち出し総合的に「高考移民」を管理する

 
教育部は今回、「2021年普通高等教育機関学生募集業務の遂行に関する通知」で「高考移民」の一掃・根絶を示したが、教育部が「高考移民」
問題に注目したのはこれが初めてではない。

 
さかのぼること2016年、教育部は公安部と合同で「『高考移民』の総合的管理遂行に関する通知」を下達し、各級教育部門に対し、管理監督を
強化し、高校に内部管理および規範的な学校運営を強く促すとともに、「幽霊学生」や学籍詐称を重点的に見つけ出し是正するよう求めている。

 
「高考移民」の取締りに関して、一部地域では続々と措置が講じられている。一例を挙げると、貴州省教育庁が2020年12月に開いた「貴州省
外来人員子女の普通高等教育機関出願規定」記者ブリーフィングでは、学籍管理は学年ごとの運営管理原則に則って「通学実態がなければ除籍」
を徹底し、「高考移民」を断固として防止することが明確にされた。

 
また別の例としては、山東省招生考試委員会(入試学生募集委員会)は「2020年普通高等教育機関学生募集業務の遂行に関する通知」で、
各地区に対し、「高考」の出願資格審査をさらに強化し、受験生の戸籍・学籍と実際の通学状況を厳格に審査すること、ならびに正常でない
戸籍・学籍の移動、戸籍・学籍の詐称、虚偽の証明書類提出などにより「高考」出願資格を獲得した場合、法および規則による厳しい処分を
行うことを求めている。

 
中国国内の各省間での「高考移民」現象だけでなく、国を跨いだ「高考移民」問題も教育部は注視している。

 
2020年6月、教育部は「教育部 わが国の高等教育機関における留学生受入れ時の関連業務の規律に関する通知」を改正し、留学生が中国の高等
教育機関に入学を希望する際の申請資格を厳しく規定した。

 
通知では、両親の双方または一方が中国公民であり、本人が出生時より外国国籍を有する学生が、留学生として高等教育機関の本科または専科で
学ぶ申請を行った場合、学校が定める他の出願資格に適合するほか、過去4年以内に外国での実際の居住記録が2年以上あるという条件を必ず
満たすよう求めている。

 
中国教育科学研究院研究員の儲朝暉氏は、本紙記者の取材に対し、国を跨いだ「高考移民」に対する取締りも同様に手を緩めてはならない
と述べた。

 
中国国内の受験生が国籍を変更して受験するやり方や、政策の偏向性を利用し国内の高等学府にもぐり込むやり方は、教育の公平性ばかりか、
社会的な公平意識にまで悪影響を及ぼしかねない
からだ。

 
「高考移民」の定義は非常に複雑な問題だと儲氏は指摘する。現時点では、「高考」の競争率が高い地域から合格が比較的容易な地域に移る
こと、あるいは、さまざまな学校の特訓コースで勉強したあと、別の地域で受験することを「高考移民」とみなす地域が多い。

 
「ただ、各地方で定義づけをする際、何年以内の戸籍移動を『高考移民』とみなすのか、また、外地からの出稼ぎ労働者の子女の『高考』問題との
混同
が生じる可能性は依然ある。

 
『高考移民』は受験地域の変更のみならず、実際には教育理念、教育の価値、教育方式といった一連の問題にも関わってくる、そのため省レベル
の教育主管部門は、少なくとも現地の状況や、移動してきた学生の具体的状況に基づき定義づけを行う必要がある。」

 
儲氏は、主管部門は「高考移民」の定義を明確に統一し、この複雑な問題をはっきりさせるべきだと考えている。
 


澎湃新闻: 教育部印发文件,要求标本兼治“高考移民”维护招生秩序
2021/03/07 


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 入試・学生募集