情勢に順応し、中国の新たな発展段階に適した教育モデルを構築する
2020年に突如襲来した新型コロナウイルス感染拡大は、教育分野にもさまざまな影響をもたらした。新型コロナウイルス感染拡大期間における
教育の変化について総括した際、趙書記は教育のユビキタス化、教育方式の多様化など10の変化を一挙に例示した。
教育のユビキタス化については、正規教育の空間は、教室や学校という枠を超え、今やネットワークにつながっているところであればどこまでも広がって
いると指摘した。教育方式の多様化とは、新型コロナウイルス感染拡大時期に、オンライン学習が立ち現れ、内容から方式、授業、ディスカッション、
宿題から試験に至るまでのオールインワン・オンライン教育モデルを形成したことを指す。
こうした変化には、他にも次のようなものがある。
- 家庭、コミュニティ、共産党委員会・政府など、すべてが正規教育体系の一員となった教育主体の多元化。
- 教えることよりも育てることを重視し、教室での授業よりも自主学習を重視し、教師の主導的役割よりも学生の主体的役割を重視する
教育プロセスの二重化。 - 知識の伝授以上に、知識の吸収と応用に人間育成の重点を置き、さらに未来の不確定性の高い社会を生きる上で備えるべき価値観、
アイデンティティ、思考力の伝授を重視する人間育成目標の全面化。 - 未来の情報社会を見据え、今日の被教育者が未来の社会に適応するための技能、資質を確実に身につけられるようにする教育内容
の未来化。 - 教育評価のプロセス化は、新型コロナウイルス感染拡大期間にもたらされた重要な教訓の一つ。
- 学校経営と人間育成は動的なプロセスであり、教師による教育も学生による学習も動的に評価しなければならないという考え。
また、学校とコミュニティの融合化は、学校はコミュニティであり、コミュニティは学校であるという、コロナ禍によってもたらされた認識
に起因している。
新型コロナの影響が及んだのは学校や学生だけではない。趙書記は、新型コロナウイルス感染拡大時期に、保護者が子供と一緒に学習に取り組む
ことで、中国における学習型社会の建設プロセスを加速し、これにより教育対象の全民化が達成されたことも指摘した。また、コロナ禍は一部の
伝統的な職業を壊滅させたが、数多くの新しい職業を生み出しもしたことにより、我々は生涯学習の必要性を認識した。趙書記は、教育プロセス
は生涯化の傾向にあると指摘した。
ポストコロナ時代にいかに教育改革を進めていくべきかが、現在の中国教育に突きつけられている時代の問いであると趙書記は見ている。
「コロナ前の生活にはもう戻れないし、戻るべきではない。この流れに順応し、ポストコロナの教育改革を全面的に推進し、深化させ、中国の
新たな発展段階に適した教育モデルを構築しなければならない」
2020/11/10