深圳職業技術学院は今年、卒業生に対する要求を厳格化し、卒業基準に達していない学生にきっぱり「NO」を突きつけた。同学院の公式サイトで最近公開された情報によると、今年、同校の専科卒業生7,364名のうち卒業率は87％、957名は修了証書のみ授与されたという。
 
専科の卒業率わずか87％という数字は、中国の高等職業教育機関の中では低いほうだ。これは卒業を狭き門にし、卒業基準に達していない学生に「下駄」を履かせないという、教育の質を重視する学校側の姿勢を表している。世論は同校のやり方に対し概ね肯定的だが、一部には高等教育機関が要求を厳格化するのであれば、基準に達しなかった学生に対する処遇以前に、普段から管理を強化し全ての学生が合格できるようにしてこそ真の高水準教育であり、全ての学生に対して責任のある姿勢ではないかとか、高等職業学校を出たのに修了証書しか手にできなければ、その学生の就職や以後のキャリアに響く、といった意見もある。だがこうした意見については理性的に見る必要がある。高等教育の質を高めるためには、レベルに達していない学生を落とすのはやむを得ない。これは実際には全ての学生に対して責任のある姿勢であり、その過程では当然ながら健全なふるい分け制度と厳格な日常の教育管理が必要になってくる。
 
世界的にみると、高等教育機関の教育モデルでは「卒業は狭き門」というのが一般的だ。名門校の「入学は狭き門、卒業も狭き門」然り、職業学校や地域の学校の「入学は広き門、卒業は狭き門」然り。そして、「卒業は狭き門」に対応するのが、中途でふるい落とすことと卒業時に卒業証書を授与しないという厳しい選択だ。先進国では、本科や職業学校の卒業率が50％に達しないのは何ら珍しいことではない。だが、中国では学生をふるい落とすことは一般には理解されない。その理由は主に次の二つだ。
 
一つは、先進国の高等教育機関とは異なり、中国の高等教育機関の学生募集および教育・管理は主として計画型モデルが採られていることだ。先進国では、学生がある高等教育機関から退学を命じられても、別の学校に入学を申請して学業を続け卒業することが可能だ。だが、中国では在学中に退学になった場合、引き続き全日制の高等教育を受けたければ、浪人して再び大学入試を受験しなければならない。加えて、学生も保護者も学歴重視であるため、大学生を退学にするということは学生の高等教育を受ける権利の剥奪とさえ受け止められかねず、現実問題として強烈な対抗にあうのだ。
 
二つは、教育の質を高めるためには、厳しい振り分けを実施し卒業基準を厳格化する以上に、普段の授業による教育を重視し日常的な教育管理を強化すべきだからだ。大学がレベルに達していない学生を振り落とし、卒業基準に達していない学生に卒業証書を授与しないことについて、これは学校が普段から教育を重視せず、学生を放任した結果ではないかと疑問を呈する保護者がいる。そこで、学校の普段の教育と管理体制を分析してみたところ、やはり問題が見つかった。だから、「卒業は狭き門」が広く認められるようにするには、学校側に人材育成を重視するよう要求し、教師に対し教育・教学研究に精力を注ぐよう指導して、普段の教育の質を高めていかなければならない。そのためには高等教育機関側が学校運営の位置づけを明確にするとともに、教師に対する審査・評価システムを改革することが求められる。
 
「卒業は狭き門」を堅持することは、中国が高等教育の質を高めるために必然的な選択である。そうすることで、蔓延する「小中高では必死に勉強し、大学では遊び呆ける」というねじれ現象を正し、大学生の負担を適度に増やすことで、教師がいい加減に教え学生はいい加減に学ぶという問題を根本的に解決できるし、大学入試制度改革に道筋をつけることにもつながる。高等職業学校の学生募集などは、高等教育普遍化時代の到来に伴い申し込みだけで入学できる制度の実施を願う声が高まっているが、一部にはそうすることで高等職業学校の入学のハードルがさらに下がり、教育の質が低下することを懸念する人もいる。それを解決するためにこそ、高等職業学校が「卒業は狭き門」を実施することが必要なのだ。つまり、高等職業学校が教育の質を維持することで、「入学は広き門、卒業は狭き門」への改革も順調に進むというわけなのだ。
 
これは本科教育機関の学生募集改革においても同様である。学校側が教育の質を強調し教育基準を厳格に守ることで、相当数の学生の「楽して卒業」が不可能になる。そうなってこそ、高校を卒業し大学入試が終われば学業は終了、合格通知＝卒業証書という学生の誤った教育観を改め、基礎教育および高等教育における質の高い教育活動の過程全体を重視し、社会のために質の高い人材を育成することができるようになるのだ。
 
2019年7月10日
 
中国新闻网：“宽进严出”应成高校基本培养模式［来源・光明日报］