【ニュース・中国】中国トップレベル大学の教職員に採用されるのはどんな人?―北京大学・清華大学の2011~2017年新任教師の履歴分析

  • 現在、北京大学や清華大学を代表とする中国のトップレベルの大学では、新任教員が主に海外大学の卒業生により構成され、続いて同校の卒業生、国内のその他大学の卒業生はとても少ないという現象が見られている。
  • 理学、工学、医学部では、“人材計画” の促進の下で教職の競争は激しさを増し続け、人文社会学部でもまた、教職の採用にかかる要求は高まり続けている。
  • “人材計画” という肩書きがあるかないかが、自然科学やエンジニアリング系の新任教員の競争において鍵となる要素となっており、“人材計画” という肩書きのない応募者は劣勢に立たされることもある。

長きにわたり、北京大学や清華大学を代表とする国内トップレベルの大学は、最も優秀な学術人材を教員グループに採用することを非常に重視し、また多くの博士課程修了者にとって、これら国内トップレベルの大学の教職員に採用されることが最大の望みでもある。

 

では、一体どんな人物が中国トップレベル大学の教職で採用されるのか?
トップレベルの大学の教職にはどんな学歴を備えている必要があるのか?
どんな要素が学術人材の求職結果に影響するのか?
学術人材はどのような分野から自分を高め、学術労働力市場での自分の競争力を向上させればなれるのか?

 

筆者は「国内トップレベルの大学の教職に採用されるのはどんな人か」をコアの問題とし、北京大学と清華大学の2つの大学の2011~2017年の新任教師の学歴について分析してみた。学校のウェブサイトやその他のリソースを通じて教員の個人情報を入手し、教員の履歴(博士課程修了年、入職年、博士学位取得機関、ポストドクター取得機関など)を調査し、最終的に北京大学と清華大学の新任教員810人(このうち北京大学360人、清華大学450人)について統計をとった。

 

新任教員のうち、国内博士は約半数
筆者は、北京大学と清華大学の新任教師のうち、国内博士の比率が最も高く、約51.9%に達していることに気づいた。このうち北京大学の新任教員のうち約178人(49.4%)、清華大学では約235人(52.2%)が国内で博士課程を修了していた。国内の博士課程修了という学歴は、国内トップレベルの大学で教職に採用される上で依然として高い競争力を持っている。
このほか、北京大学と清華大学の新任教員のうち、海外留学からの帰国者の博士が占める比率も約47.5%とかなり高かった。

 

海外とポスドクの経歴が求職競争力アップの助けに
筆者は、北京大学と清華大学の新任教員の8割以上が、一度又はそれ以上の海外での科学研究の経験があり、海外での経歴を全く持たない教員は全体のわずか18.6%であることに気づいた。一定の海外での経験は、学術人材が国内トップレベルの大学の教職に採用される競争力を向上させる助けになっている。
このほか、北京大学と清華大学の新任教員のうち、ポスドクの経歴を持つ教員が約72.2%を占めていた。このうち、海外機関でポスドクの任期を完了したのは約66.2%、国内機関が約33.8%だった。多くの教師が博士課程の学歴を取得した後、海外でのポスドクへの道を選択していることが分かる。

 

新任教員のうち、同校の博士課程修了者は3割以下
北京大学の新任教員において博士課程修了機関のうち高い比率を占めたのは、北京大学(28.6%)、中国科学院(5.6%)、清華大学(2.2%)だった。清華大学では、清華大学(29.6%)、中国科学院(6.7%)、北京大学(4.2%)の順だった。
この結果から、2つの大学の新任教員のうち海外の大学の博士が主立っているとはいえ、同校の博士課程を修了した教員は(国内で課程を修了した者の中で)最も多い。北京大学と清華大学の新任教員のうち、同校を卒業した博士が占める比率は合理的である。

 

また、2つの大学は海外の有名校や国内のその他の学校の博士課程修了者を積極的に採用しているが、中国科学院を除き、国内のその他の学校との関係はそれほど緊密ではない。
北京大学と清華大学の学術上の縁故採用の比率は全体的に合理的なのである。外部の学校の博士課程を修了した者を採用した比率は、北京大学が71.4%、清華大学が69.6%。一方2つの大学ともに同校の博士を多く採用しているが、全体的な比率はいずれも30%以下だった。言い換えると、2つの大学の新任教員は3割程度の同校の博士課程出身者、7割の同校以外によって構成されており、全体的に学術上の縁故採用の問題は深刻でないと言える。

 

4割を超える新任教員が各種 “人材計画” を通して採用
近年、「千人計画」、「青年千人計画」など各種の国家人材計画プロジェクトが相次いで発表され、各種のトップレベル科学研究人材には手厚い帰国条件が提供されている。北京大学と清華大学の2つの大学は帰国する多くの学者が理想とする就職先で、大学も教員の採用時に各種の “人材計画” に選ばれているかどうかを重視している。
筆者は、北京大学と清華大学の新任教員810人のうち、348人が各種の “人材計画” を通して採用されていることに気づいた。このうち、清華大学の採用者は全体の40.4%の182人、北京大学は全体の46.1%を占める166人。各種 “人材計画” を通して採用された海外留学からの帰国の学者が、北京大学と清華大学の新任教員の構成部分のポイントとなっていることが分かる。

 

まとめると、中国の学術方面における労働力市場は、教員の学歴構成をはじめとした各分野で、時代の発展と合致する一連の新たな特徴を示している。時代の発展の特徴をとらえ、教員の採用の各段階を考慮して初めて「双一流(世界一流大学・一流学科)」を背景とした中国の大学の教員グループの建設をより効果的に促進することができる。

 

2018年9月17日

 

青塔:谁能获得中国顶尖大学教职-北大清华2011~2017年新任教师履历分析

地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 研究者の雇用、教員の養成・確保
統計、データ 統計・データ