【ニュース・中国】コロナと米留学生ビザ規制のダブルパンチ 今年の留学市場で何があったか (2)

 
留学間近のグループに大きな影響、新たな動きはコロナ禍で加速
 
 感染症が流行する中では、個人の安全・心身の健康・経済的要素が留学生の意思決定における特に重要な要素になっている。
業界関係者によると、現在、感染症の影響が最も大きいのは留学を間近に控えたグループだ。

 
 「例えば大学院生では」と李さんは言う。「約半分の人が計画を見合わせるほかなく、当面様子見となっている」
すでに合格している学生もビザや航空券などの問題で困惑しており、集まって相談し合っている。
家庭が新型コロナの影響を受けたため、留学する予定だったが行くのをやめた学生もいる。

 
 しかし、子供の年齢が低く長期の留学を計画している家庭では、コロナ禍はそれほど大きな影響を与えていない。
留学への道を歩み始めたばかりの彼らはこれから準備を続けていけばよい。当面のさまざまな不確かさに直面しても
まだ決定をすべき時期には至っていないのだ。

 
 ブリティッシュ・カウンシル(British Council)が今年4月に発表した調査によると、イギリスにとって最大の留学生
送り出し国である中国では39%の学生が様子見の状態にある。

 
 四川威斯頓(ウエスタン)環球(グローバル)教育科技有限公司の姜紅良CEOは次のように指摘する。当初は楽観的に、小学校段階での
留学を考えている保護者は27%、中学校段階では29%、高校段階では24%に達すると見込んでいたが、現在は業界や国際部の生徒募集から
見て多くの家庭が子供の安全・健康を考え、当面は留学をあきらめている。当社国際部の生徒募集の応募も顕著に減少しており、
募集計画の60%前後にとどまっている。

 
 一方、コロナ禍は、最近留学市場に見られるようになった変化を促す役割も果たしている。
元々最も関心の高かったアメリカ留学市場が、感染症の予防制御・ビザ・国際線運航ダイヤ・政策の安定性・両国関係など
数々の要素から長期的に期待されなくなっている一方、イギリスやオーストラリアといった留学先国の人気がこれまでと逆に高まっている。

 
 教育機関「新東方」が発表した「2020年中国留学白書」によると、第1四半期(1~3月)のオンラインおよびオフラインによる
調査では、今年は「イギリスが初めてアメリカを抜き、中国学生が『留学先として一番に希望する国』になった」

 
 この報告書によると、この2~3年の米中関係の実際の状況、さらにイギリスがPSWビザを復活させたこと、本科が3年制、
修士が1年制であり時間的に有利であることから、イギリスの占める割合が42%となり、初めてアメリカ(37%)を抜いたのである。

 
 姜CEOの話によると、イギリスの大学生募集サービスセンター(UCAS)が7月12日に発表したばかりの「2020年イギリス大学
本科出願データ」では、2020年にイギリスの大学本科に出願した中国の学生数は23%増となっている。

 
 また、アメリカ合衆国移民関税執行局(ICE)は先ごろ留学ビザに関する新たな規定を発出し、秋学期もオンライン授業を行う
大学の留学生には出国するか対面授業を行う大学への転校を要求している。

 
 この新規定は市民の怒りを呼んだために、現在、一部改正されたものの、すでにアメリカにいる外国の学生は依然として、
大学が少なくとも1科目のオフライン授業を行わない限り国外へ追放されるリスクに直面している。慎重さと一貫性を欠いた
ビザ政策が留学生の意思決定にさらに影響することは避けられない。
 

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